城改造、楽勝、勇者に完勝、俺魔王

〜勇者が魔王城を訪れる前の魔王〜


魔王は考えていた。

どうやって勇者で遊ぼうか、と。


「とりあえず初見殺しな罠を門に設置しとくか。」


魔王はその膨大な魔力を使って魔王城を改造し始めた。

魔王が掌を下に向けて軽く振ると、そこに地下室まで繋がる大きな落とし穴ができた。

次には何か、看板や紙を地下室に設置し、魔法を仕掛けた。

しかし、もちろんこれだけでは満足しない魔王は、もっと大規模に改造することにした。


まずは地下室に繋がる通路の横に階段を取り付け、その先に大きな空間を作った。もちろんこれも軽く手を振っただけでいともたやすく作られた。…その簡単な動作に反して複数の魔法とやはり膨大な魔力が使われているが。


魔王は作った大きな空間に迷路を作ると、さまざまな勇者へのいやがr…もとい、勇者撃退用の罠を取り付け出した。


「まずは俺が魔改造したこの凶悪な胡椒を爆弾に詰めとくか。」


魔王は魔改造によって栄養が全て刺激物質に変わるようになった胡椒を爆弾に軽く魔法で圧縮して詰め込んだ。


「次は矢でも飛ばそうか?しかし、それだけだとつまらん…」


この魔王はいったいどこに向かっているのだろうか?目的から魔王としてズレているとしか言いようがない。


「そうだ、避けやすくして罠に誘導するのがいいな。避けれて調子に乗った勇者が罠に掛かって呆然とする様子が目に浮かぶなw」


「罠と見せかけて罠じゃないっていうのも勇者が面白い反応を見せそうだ。あえてベタなのも捨てがたい…」


こうして作られた魔王の罠はしっかり働いてのちに勇者を苦しめるのだった。


・・・・・・・・・


〜勇者が地下に落ちた後の魔王〜


勇者が意外と短い気絶の後、罠…というよりもただ煽るための仕掛けに勇者が怒り狂っている様子を見て魔王は笑い狂っていた。


「クハハハハハ、期待以上の、反応で、腹がハハ、痛い…毎回勇者に、腹筋が殺されそうだw俺の腹筋をw破壊するとは、なんて恐ろしいw勇者なんだwww」


※魔王様は笑いのツボが浅いので笑いで毎回酸欠になります


 [しばらくお待ちください]

      ||

 ( ・ ・ )/


「ハァ、ハァ、よもや酸欠で倒されそうになるとは、勇者め、これ以上面白い反応をされたら、死にそうだ…精神を安定させる魔法でも、作るか。」


魔法の才能の無駄遣いだ。無駄遣いという言葉を知っているのだろうか、この魔王は?配下も呆れかえって…もはや気にも留めていないようだ。


〜突然ですが神のインタビュー〜


(神:こんな魔王でいいんですか?)


(配下A:やることないけど給料は貰えますしいいんじゃないでしょうか?)


(配下B:まあ、気にしたところで意見できないしもうどうでも…)


閑・話・休・題


魔王が再度勇者の様子を見始めた頃、勇者はスライムと戦い決着がつかずに睨み合っている、もとい、これ詰んでね?と思考停止しているところだった。スライムはぷるぷるしている。神も癒される。


魔王は仕方なく奥の通路を開けた。決してつまらないから早く罠に掛かって欲しいわけではない。配下の消耗を抑える優しい考えだ。

…たぶん


そして勇者は幻影魔法で見せられている草原ではしゃいで汚い床に寝転んだ。魔王は笑いを堪えながら魔法を解除、勇者愕然、魔王爆笑。汚れが取れない勇者は泣く。笑いが治らない魔王は笑い泣く。


勇者は会ったのがこの魔王で殺されずに済んでよかったのか、こんなハメにあわなくてすむ他の魔王が良かったのかは手遅れなので知る由もない。


ちなみにこの魔王は歴代最強にして魔法も知力も一番の才人(?)なのである。

まあ、勇者からしたら天才というよりも天災の方が当てはまっているだろう。


勇者においては歴代最弱、ご存知の通り頭が、その、弱い勇者なのである。


そんな対極な二人が出会ったのも運命か、神のみぞ知る。…と言いたいが、神にもわからないなぁ。

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