Epilogue


 とあるビルの一室から狙撃銃のスコープをのぞいていた彼女は、ほっと軽く息を吐いてから、ゆっくりとスコープから目を離す。

「さよなら、ねえ」

 最後まで見届けずに目を離したのは、彼女なりの気遣いか。

 ハイポッドを使って窓際の机の上に固定していた狙撃銃を手に取り、慣れた手つきでしまっていく。

「たまにはこういう柄でもないことをするのも、悪くないかしらね」

 ぼそっと呟いてから、窓際に立ってじっと黒煙の立ちあがる方を見つめる。

 数秒ほどそうしてから、踵を返し、姿勢よく部屋から去っていった。

 床には、丁度五発分の空薬莢だけが残された。


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幸せ探しの殺人論 梅雨乃うた @EveningShower

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