上司の妻に手を出したせいで左遷されてきたという何やら訳ありの優男ソリオは、赴任先のその惑星で、龍と呼ばれる巨大生物にいきなり遭遇。新しい上司からの「何とかしろ」という無茶ぶりで出会ったばかりの明らかに一筋縄ではいかないその龍を追う曲者の保安官トビーとともに龍退治に挑むことに。
それをきっかけにコンビを組むことになった二人は次々と厄介事に巻き込まれ——あるいは引き起こしていく。
さらには、三ヶ月前に起こった宇宙港での爆発事故の関係者を追って現れた捜査官アイリンとトビーが組まされることになって、事態はさらにややこしくなっていき——?
龍と呼ばれる巨大生物と、それを執拗に追うトビー、その上司のタヴァネズ、そして何やら訳ありのソリオと宇宙港の爆破事件の謎を追う捜査官アイリン、それから惑星を牛耳るボス、ゲンプシーなどとにかく登場人物たちが全員一筋縄ではいかない曲者たちばかりです。
なぜトビーは龍を追い続けているのか、ソリオの秘密とは。
緻密に組み上げられた世界観と、丁寧な描写、そして魅力的な登場人物たちの迫力のアクションと軽妙な会話が最高に楽しいです。
何より、あの事件の動機のやりきれなさと、彼の決意にああもう……と唸ってしまいました。
まるで映画を見ているようなテンポの良い展開と最高に格好いい大人たちの上質なアクションサスペンスSF。
おすすめです!!
最近はインターネット小説だが、インターネット小説らしさのない小説を読むことに嵌っている。インターネット小説たるものが何かというのは個人の価値観で大きく変わってくるので、一概にこうだと定義することはできないが、私にとってドラゴンチェイサーズはインターネット小説っぽくない小説だった。
恐らく反射では書いていない丁寧な地の文に、下手に改行されていない詰まった文章。そしてよく考えられているであろうSF的世界観は非常に読み応えがある。しかしだらだらと堅い文章が続くのではなく、クズと評価された個性豊かなでキャッチ―なキャラクター達の楽し気な会話によって、テンポよく読むことが出来る。
また序盤では小さな事件を交えながら、特異的な世界観の説明を丁寧にしてくれるため、SF初心者にも優しい構成になっている。
少し丁寧すぎるかという印象を受けるかもしれないが、後半になるにつれ、愛着の湧いたキャラクターたちが大きな事件に巻き込まれていく様子は非常に読書欲を掻き立てられる。
もし読み応えのあるキャラクター小説が読みたいと思っている人にはぜひこのドラゴンチェイサーズをお勧めしたい。
ドラゴンが登場する物語と聞くと、多くの人はファンタジーを想像するでしょう。
しかしこの作品のジャンルは、なんとSF。
『龍』とは、辺境の植民惑星に住み着く馬鹿でかい蛇型の未確認生命体のこと。
そんな龍を追う、イカれたメンバーを紹介するぜ!
後先考えず暴れていろいろブッ壊す口も人相も極悪な保安官、トビー!
隙あらば女に手を出して無闇に問題を大きくする元エリート、ソリオ!
部下の尻拭いで自慢のアフロヘアは常に爆発寸前、タヴァネズ!
ヤバいブツも情報も右へ左へ綺麗に捌く謎多き女、デミル!
以上だッ!(いやもっといろんなクズの人が出てくるけど)
まるで洋画を見ているような軽妙な会話とストーリーライン。
クズがクズを呼び、厄介ごとが厄介ごとを引き寄せて、いろんな問題が絡まり膨らみどったんばったん大騒ぎ。
最後はド派手に爆発し、全部スッキリ解決します。何も問題ないよ! たぶん!
彼らの活躍(?)をいつまでも追っていたいと思える物語。
極上のSFエンタメを、あなたもぜひ!
【読む前に”作風”を予想】
チェイサーとは、追う者、追撃者の意味らしい。 と、いうことはドラゴンを追う者たちがいるところに、追放されてしまった主人公の物語という事は明らかなわけだが。俺が思うに、この作者さんはモノによって作風を変えてくるのではないか、と思っているんですよ。スピード感を出すなら、会話が多め、重苦しさを出すならモノローグが多くなる。独特の個性を押したいのであれば、コミカルさも+される。なので、予想としては、コミカル×スピード感のある作風なのではないかと思います。
【印象に残った、感動、凄いと感じた部分】
これは!書き出しが好きですね。予想外です。世界観はモノローグや説明で語られることが多いのが、SFやファンタジー。しかし、この作品は「」で始まっている。ネタバレになってしまうので詳しくは書きません。冒頭「」には”注意を引く”という効果があります。これに対しての、主人公(もしくは登場人物)たちが反応を示している。これは、読者が、感情移入またはシンクロやリンクしやすい状況となる。つまり冒頭からいくらも立たないうちに、読者は物語の住人となるわけです。とても読みやすく、分かりやすい。こういう世界観の説明の仕方は、初心者には嬉しいです。SFが初めて、オリジナル世界にどうも苦手意識があるというかたに、優しい始まり方です。これなら読みたいと思わせる作品。
【自分が主人公の立場だったら】
5000文字まで読んでなのですが、これ面白い!
自分は映画版のトランスフォーマーが大好きなのですが、あの興奮を思い出した。
で、主人公の立場でですか?いやいや、こんなの勝てませんて。安全なところで、眺めているに違いない。
【物語のその先を妄想】
この後、どうなるのか。一ページ目と二ページ目でガラッと空気が変わります。恐らく、主人公にとってはファーストコンタクトなのでしょうね。初めての遭遇で、戦闘に参加できるとは思えません。しかし、物語が続いているという事から、これはまだ序章に過ぎない。自分が思うに、この主人公はゆくゆくはチームを作り、それぞれの個性を生かしたスタイルで戦うチームリーダーに成長していくのではないか、とおもっています。