点滅する鼻・不安な男/再掲

男の鼻は消えたり現れたり点滅していた。

元来、鼻を表す漢字が自だった様に、鼻は自らの象徴であり、鼻の喪失は自らの喪失を意味するのだ。

男の不安とは裏腹に鼻の点滅は加速し、遂に鼻は消えた。

「ふふふ」

自らを失った男はのっぺりとしたアルカイクスマイルを湛えていた。

元来、自らとはエゴなのだ。

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奇妙な男達/自選集(140字小説) 塩塩塩 @s-d-i-t

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