塩塩塩

それでも前を向いて、私達は生きていこう。 全てを受け入れ、善良な市民であり続けよう。 一話完結、どこから読んでも大丈夫。 タイトルに●付きがオススメです。 会社員のシュールでショ…

日本の空に花束の大群が飛来した。 太陽光は花束に遮られ、まだ昼過ぎというのに外は夜の様に暗かった。 「うわーっ、逃げろー！」

吊り橋の上、夕焼けに袂を分かつあの二人のシルエットが浮かぶ。

日曜の昼下がり、広い公園に人だかりが出来ていた。 年齢こそバラバラだったが、それは全て同じ男だった…。

シュールな会話劇。 一話完結の短編集。 BGMはサン・サーンスの「白鳥」を、お勧めします。

ゾンビ映画等を一切見た事のない作者が想像で描く、ゾンビの父がいる日常風景。 どれから読んでも支障ありません。 特に捻らず、ゆるくお届けします。

「これ右の部屋だっけ？」 その質問を聞き、四人で運んでいた冷蔵庫が何かを探す様に動き始めた…。

退職した先輩に会った。 「働き過ぎで過労…」

「つまり、ホフフフホホそういう事だな」 取引先の部長は、酔うとお国訛りの…。

「ただいま」 「おかえりなさい。今日も来てるわよ、新しいお父さん」 「もう寝てもらう所ないな…」

『金縛りだ！』 唯一動く瞼まぶたを開けると、枕元に男が見えた。 『あ、…』

「熱い鍋、はい1、2、3」 師範の掛け声に従い、私達白帯は…。

男は七月初旬に生まれた蟹座である。 蟹座は当然横歩きをするのだが…。

社長室の前には大量の蟹が置かれていた。 『嗚呼、また失敗だ』…。

レッドデータブックを眺めほくそ笑む俺。 何と俺は絶滅危惧種となったのだ。 日本人は俺をどう見るのか。 「人類の背景の人」のセルフリメイク。

ドライブをする夫婦。妻は運転する夫にガムを勧める。夫婦のクレイジーな思考。

幽霊など信じていない私に起こった謎の心霊現象は、私の知らない常識で解決される。

私は新しい大仏を拝観に行く、そこで目にしたものは…！ 新しい大仏の見方は世界を変える。 色即是空空即是色のシュールな短編小説。 「新しい大仏とフライデーの表紙」のセルフリメイク…

塩塩塩の自選集です。 これまでの作品から、星の数等は考慮せず選んで再掲しました。

立派な象の前を男が先導し歩いている。 男は言った「この象は私の…

男の顔は金太郎飴だった。 「嗚呼、何と私は美しいのだろうか」 男はナルシストで鏡を見過ぎた為…。

新しい大仏に感動する拝観者の中、私は言葉を失った。 それは自宅で呆ける私の姿だったのだ…。

向かいに越してきた男は坊主頭だった。 「私は隣町から来た、いわば外来種です。 私の何気ない日々の営みは、この町を脅かすでしょう…」

アンプが電気的に増幅したのはエレキギターの音だけでなく、男の潜在的要素だった…。

板張りの床屋だった。 マスターは薄くなった中年男の頭を静寂のうちにサッパリとした…。

部屋に入ってきた男は30人目の私だった。 どの私も疲弊しており「私が本物だ」と主張する者などいなかった。 一人の私が開けた押入れに…。

隣家からカレーの匂いがした。 隣の亭主が言った「カレー粉は全ての調味料に優先されます…」

ミステリアスな爬虫類顔の男達は、自らの尻尾を切り北へ逃げた。 「なぜ私達は北に魅了されるのか…」

朝の通勤電車では、乗客が皆下を向き黙っていた。 隣の男が言った「ここはプライベートな自分を諦め、会社員へと…」

保育園で大人達が無邪気に走り回っていた。 園長の男が言った「全て…」

会社員風の男は言った「ケンタウロスや人魚の様に、私の下半身は…」

バス停で隣の男と目が合った。 「見られてしまっては仕方ない。 私は…」

桃太郎は犬猿雉と鬼ヶ島への長い旅に出た。 しかしそのお陰で桃太郎は犬猿雉と心が通じ合い、鬼を退治する頃には犬猿雉は人間の友達の様になっていた…。

意識の高い部下が口の周りに米粒を付けて出社してきた。 「これは飯化粧ですよ…」

妻はカンフー映画が好きだ。 これは義理の父の影響なのだ。 週末妻に誘われ二人で映画に行った…。

「ハクション」 男は体の内と外がベロンと裏返り、生き別れた父になった…。

男はペットを紹介した。 「ラクダをラクダたらしめる物はコブです。 ラクダにとってコブはアイデンティティなのです…」

男はランニングしていたが、その後を男の残像達が追いかけた…。

会社員風の男が散歩させている犬は、首輪こそしていたがリードはなかった。 「妻は逃げませんよ…」

産科医の男が母体から取り上げた女児は獣の皮をまとっていた…。

男は宝くじが当たった。 興奮を抑えつつ夢ではないかと、自らの頬を力一杯つねった。 カチッと音がした…。

社員は半狂乱で会社に火をつけ走って退社した。 部長が慣れた手付きで火を消した「皆退社時に放火するのです」…

私は首に半透明の紐が付いているのに気が付いた。 手繰り寄せると紐の向こうに半透明の男がいた…。

「これは最高級の和牛だ」 男は強い空腹で錯視が起こっていた…。

男は客の服装を褒めていたが違和感があった。 口の動きと言葉があっていないのだ…。

子どもと体中に字が書かれた父親が、街を歩いている…。

会社員風の男達が空を漂っている。 「業務の状況を俯瞰で見ている間に…」

狭い喫茶店だった。 珈琲を飲んでいると窓の外に喧嘩が見えた。 マスターは窓枠に空の一輪挿しを据えた…。

男は太っていた。 「顎の下に肉が付き過ぎて、顔の輪郭が無くなりました…」

銭湯で男達が椅子に腰掛ける体勢で右手を口に運んでいる…。