物語の舞台は、瘴気が渦巻くイルミネイト王国。この国ではたくさんの人が、呪大樹により発せられる瘴気に苦しみ、亡くなっていました。
主人公の女の子、町娘のネモフィラも、瘴気によって友達を失ったのです。
瘴気の前には、ネモフィラは全くの無力。何もできることなんてない、はずだったのですか。
自らの出生の秘密を知り、自分だけが祖国を瘴気の驚異から守れると聞かされた時は、彼女の運命は大きく変わります。
このネモフィラ、本当に良い子。自らに降りかかった運命を受け入れて、人々を救うために旅に出る事となりました。
ついこの前までただの町娘だったのに、いきなり国の運命を背負うことになったのだからさあ大変。普通なら、プレッシャーに押し潰されてもおかしくありません。
しかし、そんなネモフィラの旅に同行し、彼女を守ってくれる、レイヴンという名の護衛も、旅に同行してくれました。
最初は距離感を掴めずにいた二人ですけど、一緒にいる中でだんだんと惹かれてきて。しかし、レイヴンはネモフィラに教えるわけにはいかない、ある秘密を抱えていたのです。
大きな秘密を抱えた護衛、レイヴンとの旅の果てには、いったい何が待っているのか?
異世界転成も転移もない、良質な異世界ファンタジーが好きな人に、是非読んで貰いたいです
呪われた大樹により発せられる、瘴気に蝕まれた世界。瘴気を取り込んでしまった人間は、記憶と理性を失い暴れまわり、治す手立てはありませんでした。
できることといえば、被害を広げないため、瘴気を取り込んでしまった者を、人知れず処分すること。本作の主要人物の一人であるレイヴンの家は、先祖代々その役目を背負ってきていて、彼もまたその後を継いでいました。
しかし、やっていることは人殺し。
これしか方法はない。先祖も皆、同じことをやってきた。どんなに理由を並べても、その行いは彼自身の心を蝕んでいきます。
そんな折、彼に下った命令は、瘴気を生み出す呪大樹を抑えることのできる聖水を手にするため、王族の護衛を勤めること。しかしその王族というのは、市政で暮らし、自分が今の今まで王族ということも知らずに育った一人の少女でした。
ずっと望まぬ宿命を背負わされ続けてきた男と、突然大きな宿命を背負うことになってしまった少女。
この出会いは、果たして彼にとって救いとなるのでしょうか?