第6話私を選びなさい! じゃなきゃ泣いちゃうよ!?

菊池健一は窮地きゅうちに立たされていた。


 逃げ場はない。

 しかしこの場を何とかしないといけないのだ。



 「菊池健一!」


 「菊池君!!」


 「ねえぇ、菊池君?」



 美女三人に言い寄られる菊池健一。


 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 ここで優柔不断にも待ったをかけた。

 おいこら、うらやましいんだから早く決めろ、そして文字数もやばいんだから早くしろ!


 「あ、あのさ、嬉しいんだが ちょっと待ってくれ」


 そう言って菊池健一は鈴木麗菜に対して手を差し出す。



 「まだ最後の一人のラブレターを読んでいない。決めるのはその後でも良いか?」



 「なっ!?」


 「ええぇっ!?」


 「あらまぁ」



 するとさっきまで熱い視線ラブコールを菊池健一に送っていた豊田涼子と本田明美、そして五十鈴幸子も熱っぽい眼差しが急に冷える。

 そして三人とも汚物でも見るような目に変わる。


 「ふん、私がここまでしてそれ? だめね」


 「もう、菊池君のバカ! 知らないっ!」


 「はぁ、せっかくの禁断の愛が台無しね」



 そう言って三人はいきなり興味が失せたようにさっさと部屋を出て行ってしまった。




 「え? ええっ?」


 残された菊池健一と鈴木麗菜。

 今まで涙目で目の端に涙を溜めて呆然とする鈴木麗菜の手から菊池健一はすっとラブレターを引き抜いた。



 「ま、俺に相応かな?」



 そう言って菊池健一は笑いながらそのラブレターを読み始める。

  

 「あ、あんた‥‥‥」


 その様子を鈴木麗菜は只々笑顔で見守るのであった。



 

 ―― 完 ――     



 くそう、リア充どもめ爆発しろっ!

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私を選びなさい! じゃなきゃ泣いちゃうよ!? さいとう みさき @saitoumisaki

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