私を選びなさい! じゃなきゃ泣いちゃうよ!?
さいとう みさき
第1話ラブストーリーは突発的に
「と言う事で相談に乗ってくれ!」
「え? なんで? そこは相談じゃなくて『決めたよ』とか『やっぱりお前だけ』じゃないの?」
夕方の教室に残る二つの影。
とは言えよくよく見る光景。
この二人は幼馴染でよくよく自分たちの教室でこうして話をしている。
「何言ってんだよ? これが相談に乗ってもらえなきゃなんだってんだよ?」
そう言って彼はカバンの中から手紙を三通出した。
彼女はそれを見てぎょっとする。
それもそのはず、どう見てもラブレターだった。
「俺の時代が来たと思わないか?」
どこか遠くを見るように彼は
なんとなくさわやかな風が吹ききらきらフォーカスまでかかっている。
「いやいやいや、意味が分からないわよ! 大体にしてあんたこれ全部読んだの!?」
「いやまだだ、だからこれからここで幼馴染のお前さんとこれらを開けて読むんだよ」
「な、なんで私が!」
思い切り赤面する彼女。
しかもその顔はとても不満そうだった。
だが我が道を行かんとする彼はそんなことお
「ぎゃーぁっ! なんで本当に目の前で開けんのよっ!?」
「いやだって、お前さんとこれらを読んで意見交換をだな」
「そ、そう言うのは一人で先に読むもんじゃ無いの!?」
「そうか? 何ならここで朗読でもしようか?」
「殺されたいのこのバカはぁっ!!」
彼女は真っ赤になりながら机を両手でたたく。
しかし彼はそんな事お
「えーと、なになに~? 『私は~』」
「本気で読み始めた!? やめてよして! やめてよして!!」
彼女が真っ赤になりながら恥ずかしい内容のラブレターの中身を読まれる。
よく言う、ラブレターを書いたら一晩
しかしそんな事を忘れるくらいに恋する乙女は
だが彼はそんな恥ずかしい内容を
それはほとんど拷問だ。
聞いているこっちが
いや、いっそリア充爆発しろと思うほどだ。
そんな精神的ダメージを受けながらも彼女はその拷問を乗り切る。
「はぁはぁ、もう許してぇ~」
涙目だ。
彼はそんな彼女を無視して三通のラブレターを机に並べる。
「ふむ、これは大問題だな」
「な、何がよ?」
真っ赤になって彼女は彼を
そして覚悟を決めて聞く。
「で、どうなのよ? そ、その、決められた?」
「うーん、そこが問題なんだよな。だってこれって三つとも名前書いてないから誰だか分らん!」
「へっ?」
もう一度言おう、ラブレター書いたら翌朝もう一回読もう。
「タダな、三つとも今日の放課後この教室で待っていてくれというのだがな」
彼がそう言い終わった瞬間教室の扉が開いた。
そして女学生二人と男子学生一人が入って来た。
「へっ?」
彼女の間抜けな声が教室に響くだけだったのである。
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