墜ちていく、墜ちていく、束の間の幸せ

天使病。
その名前とは裏腹に残酷な病。

罹患してしまったアンさんを患者として極めて冷淡に接するドロテアさん。
喪失はあらゆる感情を生む。彼女たちが得た感情が、正しいものなのかどうかはわからない。縋り合うだけの、意味のないものなのかも知れない。
しかし私は、二人の関係を美しいと思った。
惰性でも諦観でもなく、ただ底抜けに求めあう彼女たちを愛おしく思う。

二人は墜ちていく。
そのさなかに視野は広く、されども互いの瞳には互いの表情しか写っていないのだろう。寂しそうに、それでいて甘やかに笑う表情しか。