愛情。どこか美化されがちなその感情は、無防備に褒め称えられるほどに、果たして、美しいのだろうか。潔いのだろうか。この作品が示しているのは、その愛情の容赦ないひたむきさだ。若いが故に無知で、だから純粋で、盲目的な感情。今一度私たちは、その感情の本当の在り処を、その残酷さを見定めなければならないと、この作品は気づかせてくれる。
美しい人。容姿以外の優れた点と言えばたった一つだけあり、それは泳ぐことだった。夏の水葬、タイトルの意味は途中でわかります。比喩表現など上手いです。儚く美しいです。
若い故の残酷さと、歪んだ愛情、それとは対照的な、美しい文章が相まって、独特な空気感を生んでいます。誰もが書ける作品ではないと思います。一読の価値ありです。
まず一定数、こう言った「歪んだ愛」を持ってしまう人間はいて、それは第三者目線で見れば醜いものに他ならない。でも、これが当事者目線で書かれていることによって、まるで自分がそうであるかのように「人魚」の影を求めてしまう。望むように「人魚」と呼ばれる彼女の苦しみが描き出されていき、驚くほど鮮やかなラストを迎えます。解釈がどこまで合っているかは分かりませんが、色んな人にこの作品を読んでもらいたいと思いました。
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