第659話 2人の物語はまだ始まったばかり
◆
現在の俺は、とってもよく知っている場所。自分の実家にやってきているところである。
海織と斎宮さんが頑張って取ってくれた、ひのとりとしまかぜに俺と海織は無事に乗り制覇したということだ。なので現在は海織とともに近鉄名古屋駅を出て数時間後である。まあその日の午後だな。
本当は海織とともにひのとりと。そのあとはしまかぜを超満喫しました。ということを語りに語るということでもよかったのだが――まさかの事態が起きていましてね。もう何も知らなかった俺だけパニックよ。大騒動よ。ということで――まさかのひのとりとしまかぜについては後日ということになっている。
いやだってね。簡単にここ数十分。1時間くらいか。その間で起きたことを簡単に言いますと――。
実家に海織とともにやって来ると……俺の周りの人たちが勝手すぎて勝手なことをしまくった結果。うん。大騒ぎになる加茂楓だった。
「なんか俺が知らない間に難波先輩がしてた!?」
「親もそれ知ってる!?」
「それに海織も絡んでる!?」
「あれ!?俺春からどうなるの!?」
「えっ。既に話はちゃんとついてる!?」
「ちょっと!?!?本人何も知らないんですけど!!何がどうなってるの!?」
だった。
実家に帰って来て、さあ鉄道の旅楽しんだし――難波でお土産かなり買ったから確認もしないとだから――ちょっと休憩。などと思っていたら、なんか唐突に俺の話が始まりまして――聞いていたら――もう驚くことばかりというね。えっ何?俺何も知らないというか――何勝手な事しちゃってるの!?だった。
いやマジでホント。ひのとりとしまかぜに乗れた嬉しさが一時的に全部忘れるくらいのドタバタがこの後あったのだった――まあうん。それはそれだ。さすがに徹底的に海織に吐かせた。というのか。事情聴取だな。でもここの親も海織側だから――まあなんというか。吐かせた。とか事情聴取と言ってるかが――常に和んだ雰囲気で相手をされる俺だった。仕方なく。途中でまさかの今後の俺に大きく勝手にかかわってきた難波先輩に連絡入れたのだが――ここもダメだった。
「やっと教えてもらえたのかー。がはははははー。じゃ、そのうちまた行くわー」
「……」
会話不成立だった。なのでとりあえず親が居るところだと和んでしまうというか。うん。俺が相手にしてもらえなくなってしまうので、俺はその後海織を連れて海岸へとやってきていた。自分の部屋という選択肢もあったが。あそこだと普通に親が乗り込んでくるのでね。だから外へと出た俺だった。ちょっと暑いが――まあ仕方ない。うん。とりあえず俺は家を出てから海織に再確認したのだった。
「——で、海織さん。ホント何してるの!?」
「てへっ?」
……ダメだ。まだこの子楽しんでいるというか――うん。
「いやいや、てへっ?だけで終わらさない」
「いやー、さっきも言ったけど、まさか楓君ホントに何も気が付いてないとは……楓君のおじさんもおばさんも知ってたのに。実は楓君私がしていることに気が付いていて――でも聞くタイミングがなくて。とか思っていたのに」
「そんなことあるわけないでしょ。ってか。海織になにか聞くならいくらでも機会あるから。普通に人の家で生活している人なんだから」
「あっ、そうそう私もうすぐあの家返すんだよ」
「だから。どんどん新しい情報やめて?」
「いや、今度は別の親戚の人が使うみたいでね」
「——まあ、それはあれですか。海織が卒業とともに実家に帰るというやつですね」
「いやいや、楓君。数週間後だよ?」
「——あれ?まだ卒業してませんが?」
「だから、正式に楓君ところで生活するの」
「——怒った方がいいのかな?」
「楓君は怒れないよ。怒ってるイメージないもん。いつも優しい楓君だね」
ニコニコと。次から次へと何かを言っているこのお方。誰か止めてである。
「——マジでどうなってるんだ!?海織?説明。即説明。ちゃんと1から説明」
「だから私今日一応言ったじゃん。『いやー、楓君に怒られないようにご機嫌取りかな?』って今日の朝06時53分頃に。本当はさっきも言ったけど。楓君が気が付いていて――っていうパターンも考えていたけど。まさかの間抜け楓君だと――ってことで、予防線?かな張っておいてよかったよ」
「——だからあの時無駄に時間を言っていたのか。記憶に残るように」
「そういう事ー。てへっ」
「だから。このお方は何をいろんな事をしちゃってるのか――って地味に俺の頑張りが消えたところもあるような……」
うん。俺が一時期帰って来てしていた就職活動は?ちなみにそこにもちゃんと話がいっており――今では難波先輩のところと何かしているとか。
もうわけわかんないことに俺の周りはなっているらしいが――さすがに数十分くらいの話だけでは分からないの事。理解できないことが多すぎるので、俺はちゃんと海織に言う。
「海織。ちゃんと話す」
「わかったよ。言わないと楓君にいじめられちゃうから、数十年前から話すね」
「——ちょっと待って、そんなに前からの必要ある!?」
「にひっ」
「ってか。そういえば海織最近。過去の事よく触れてたような……」
「楓君話し終えた後アルバム見ようか」
「えっ?」
アルバム?なんの?と俺が思っている間にも海織の話は進んで行き――。
「じゃ、話すね。って、さすがにここじゃ暑いから。日陰で話そう。話し終えたら海に突撃予定だから。覚悟してね」
「えっ?」
「では。むかしむかし……」
……そこからはホント壮大な。俺の全く知らないお話が続いた。いやいや嘘でしょ。と聞いている時は思っていたことも多々あったのだが――話が終わり。ずぶ濡れになった後実家へと帰り――夜。俺の部屋で答え合わせがあり――。
自分の間抜けさを再確認した俺だった。ちなみにその後。俺はしばらく海織にいじられました。今までになくいじられましたね。あと、途中で海織は斎宮さんにテレビ電話とかしちゃうし。それでさらに俺はいじられるし。いやだって――斎宮さんも知ってたとか。思わないでしょ。めっちゃ恥ずかしいというか――うん。途中でもう自由に言ってくれ。だったからな。俺は何も気が付かない馬鹿。間抜けなのでね。うん。言いまくってくれだった。
◆
結局常に海織に振り回され続けていた俺。なんかいろいろ既にあったような感じだが……実はまだ海織との生活は始まったばかりだった。と知るのは……もう少し後の事。だって、宮町海織というこのお方は、この後もずっとずっと、最期まで俺の隣に居るのだから。今起きていることはまだ始まりの一部でしかなかった。
(おわり)
ぼっちが時刻表を見ていたら、美少女が接触してきた話 くすのきさくら @yu24meteora
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