まるで絵画のような「絵になる短編」

本作を一言で表すと「絵になる短編」です。

物語が進むにつれ、場面がいろいろと展開するのですが、それぞれの場面がとにかく絵になる。頭の中に画像が浮かんできます。

また、短編の恋愛作品は一本調子の起伏のない作品が多いのですが、本作は、極小短編からなる連作作品のように、読者を飽きさせずにストーリーが進みます。かといってプロットのような急さはなく、ずっしりとした読みごたえがあるのは、著者の選択する語句の一つ一つに無駄がなく、徹底的に考えられているためでしょう。

素晴らしい作品でした。