本作は心霊の持つ怖ろしさと、人間の持つ恐ろしさという、二つの方向性を巧みに融合し、同時に展開している。「あなたのせいよ」「私は悪くない」どこからともなく聞こえてくる心の声悪意に嫌悪しつつも善とは言い難い主人公せめぎ合う感情も心霊のせいだと言うのか。我々のすぐ近くに存在する、奇々怪々な世界に気付かされました。
短いながらも不穏な空気が文章を引き締めている。新しい形のモダンホラーなのかも知れないですね。主役の気持ちの揺らぎというか、不安定感がうまく書かれていたと思います。