空中浮遊は突然に。

空中を舞い、太陽の光を浴びイカロスの如く落下していく男、不遇覚【ふぐう さとる】


彼は今、悩んでいた。

湯野川桜に勇気を出して告白した・・・筈だったのだが何故かこんなことになってしまったのかと?

それは明らかに想定外の事だった。

そして彼は思う。


(あー・・・これ落ち方間違えたら死ぬじゃん??

 てか、これどうやっても大怪我は免れないな。

グッバイ、俺。)


覚は現実を目にしあっさりと諦めた。

まあ、それも当然といえば当然。

何故なら覚と地上までの差は四メートル以上・・・。

何をどう足掻こうが、なるようにしかならない。

しかし、覚が諦めかけたその時、人生イコール不遇な境遇を経験し、それらに耐え抜いてきた肉体が覚の意志を無視して、生き残る為に恐るべき防衛能力を発動させる。

それはまさに地面に激突する一メートル前後の距離。

だがその距離から体を高速ど動く水車のように回転し、落下の勢いを殺し見事に着地する。


(あれ?

俺、何か助かってる?)


覚は自分の身に何が起こったのか分からずキョトンとした眼差しで自分の体を確認する。

だが不思議がるのは当然だった。

あの高さから落ちて無傷は普通に有り得ないからだ。

しかし・・・。


「これは一体どういう事なのかしら?

まさか、奴隷志望者が私の渾身の一撃をいなすなんて......。

貴方、ただの奴隷志望者じゃないわね!?」


「あ......いや、別に奴隷になりたいとかは思ってないんですが?」


「・・・・・そう、つまり貴方は私を奴隷にしたいって事なのね!?

身の程を知りなさい!」


(あれ......!?

何でこんな話になった!??

俺、別に奴隷にしたいとか、なりたいとかの話してないよね!??)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女王様とロミオ達 キャラ&シイ @kyaragon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る