女王様とロミオ達

キャラ&シイ

序章 桜の恋愛とは戦場である。

「湯野川さん、僕と付き合ってください!」

「あら......早速、来たわね?」

 男性からの突然の告白......。

しかし桜はその男性からの突然の告白を受けて眉一つ動かさない。

いや......それ以前に桜の心は微塵も動かなかった。

 男性は同じ大学に通う男子であり、彼は深々と頭を下げる。

本来それは照れとドキドキが止まらない運命の瞬間の筈だった。

しかし――。


その告白を受けて桜は、その男子に告げる。

「つまり貴方は私の奴隷志願者なのですね?」

「へっ......奴隷志願者......??」

それは当然の反応だった。

普通なら告白に対する返事はYESかNOに属するものだからである。

だが......それは明らかに、それらとは異なる異次元から訪れた答え。

それは誰が見てもお付き合いに対する返答ではなかった。

そんな中、桜は天を貫くような高声で言い放つ。


「さあ、始めましょうか......立場を決める戦いを――。」

「えっ......?

立場を決めるといいますと??」

「どちらが奴隷で、どちらが主人になるか......その立場の争奪戦に決まってでしょうが?」

桜が、そう言い終わるとほぼ同時、熱風が二人の前を通り過ぎる。

そして、それが戦い開始の合図となった。

状況が理解出来ずに呆然と立ち尽くす青年を尻目に桜の疾風のような背負い投げが青年に向けて繰り出される。


(あれ.........?

俺.........確か湯野川さんに告白しに来たんだよな?

ならなんで俺は今、空を飛んでいるんだ??)

青い空......白い雲......そして、つまらないモノを見るような桜の眼差しが青年に向けられていた。

まるで、それは鳥になったかのような夢心地......。

空はただただ青く、太陽は青年を温かく見守る。

空は本当に青かった――。


(太陽って本当にあったけーなぁ~・・・・・・。

――って、それで本当に良いのか俺!!?)

そんな得体の知れない状況の中で何とか正気を取り戻しつつ青年は、自身の在り方に突っ込みを入れた。

白い雲の漂う空を舞いながら......。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る