概要
カチ、カチ、カチ、古時計だけが、私の心の時を刻んで行く。
幼いキクちゃんが寝ていると、古時計の扉が開いて羊が何匹も出てきた。何匹も、何匹も、出てきた。朝になって、両親にその話をすると、夢だと言って何も信じてくれない。キクちゃんは、大人は分かっていないと機嫌を損ねる。
大人になったキクちゃんは、自分が代を引き継いだ宝石店に一人佇んでいる。コロナで客足が途絶え、長年営業してきた店が、今年限りで閉めることになるかもしれないという危機に面している。
店に持って来ている古時計の針の音だけが、幼い時と変わらずにカチ、カチと音を刻んでいる。
幼い頃の不思議な体験を思い出すキクちゃん。その古時計の中に、将来の秘密が隠されているかもしれないと、扉を開けようとする。開かない。途方にくれる。悲しみと絶望で涙がこぼれる。
頬から零れ落ちた涙が、店に置いてあるどんな宝石よ
大人になったキクちゃんは、自分が代を引き継いだ宝石店に一人佇んでいる。コロナで客足が途絶え、長年営業してきた店が、今年限りで閉めることになるかもしれないという危機に面している。
店に持って来ている古時計の針の音だけが、幼い時と変わらずにカチ、カチと音を刻んでいる。
幼い頃の不思議な体験を思い出すキクちゃん。その古時計の中に、将来の秘密が隠されているかもしれないと、扉を開けようとする。開かない。途方にくれる。悲しみと絶望で涙がこぼれる。
頬から零れ落ちた涙が、店に置いてあるどんな宝石よ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!その不思議な古時計、幼き頃には安寧を、今ではこれからの希望を私にくれた
この物語のヒロイン、幼少の頃から、ひとり寝だったようだ。
両親は、朝早くから夜遅くまで仕事をしていた。それを尊敬していたからこそ、寂しさにも耐えていたのだろう。
古時計の刻む音を気にして眠れない夜も、両親に教わった、羊を数え、そのうちに眠りにつく日々だった。
この夜も……。そして、不思議な体験をする。
時は流れ、現代、この厳しいご時世の中、先代から受け継いできた宝石店をたたまなければならない状況になる。
ここまでの様々な感情が募り、今でも、正確に時間を刻み続ける古時計に想いを馳せた。
そこで、零した涙が、また……。
弱気なこころを暖めるかのような、背中をそっと押してくれた…続きを読む