第12話 ギルドカードを作ろう
さて、町に入ることができた。
身分証明書がないと少し安心できない性質なのもあって早くギルドに行きたい。
「師匠、ギルドの建物ってどれですか?」
「ほっほ、あまり焦るでない。このようにゆっくり街を見るのも修行と思うのじゃ。ほれ、人の顔を見ておるとかなり修行になるもんじゃ。表情というのは戦いにおいても大切じゃからのぉ。」
そう言われたので周りを伺う。
先ほどから感じていたがやはりこの町は、良いな。
人の表情が晴れやかだ。
王都だとこうはいかない。
王都だと全体の4割もこんな表情の人間はいない。
それがこの町だと8割くらいだ。
「この街は、良い街ですね。」
そう言うと感心した表情で師匠はこちらを見る。
「ようわかったのぉ。この街は行きかう人間の表情が明るい。そして、街がきれい。このことからいい街と分かる。わしもここを気に入っておる。」
師匠はそう言いながら褒めたときいつもしてくれる髪をクシャッとするのをしてくれた。嬉しいけど‥‥恥ずかしい‥‥
そんなこんなでギルドに向かっていたがとうとう着いた。
これがギルド。
デカい。そして‥‥うぅ、酒臭い。
なぜなら、ギルドは基本酒場と併設されているからである。
しかし、この匂いをいい匂いと思えない時点で俺は転生したのだと感じるほど俺は酒好きだった。そうだった。
年のせいもあるが酒をどうにも好きになれない。
不思議な気分だ。
ギルドの中に入ると、そこは前世で言う飯時のファミレスのごとく混雑している。
それに客はファミレスにいるようなキッズやペアレンツではない。
荒々しい冒険者どもだ。
ルール、マナーなんてお構いなし。肉なんて手で食えばいい。テーブルマナーなんぞ糞食らえを信条にしてる奴らであるわけで俺にとっては居心地がいい。
酒の匂いは苦手であれ、この荒々しい雰囲気はどことなく前世での生活を思い出させてくれるので好きだ。
まあしかし、チンピラは好きになれんが。
冒険者ギルドの受付窓口は生憎混雑中。
待つしかないか。
それにしても受付嬢はみんな綺麗だ。可愛い。
それもそのはず、もともと荒々しい奴が多い故そういう奴を大人しくさせるためには綺麗なネーチャンを置くのが一番というのが通説だ。
おっ、やっと俺の番が来た。
異世界の武器商人 イケバナ @Ikemisu
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