『仕方ない』で済ませようとする社会への、会心の一撃!!
- ★★★ Excellent!!!
いくら男女平等を声高に叫んだところで、生物的に改変できない部分を考えて「仕方ない」と目を瞑る人が多くいる社会。
しかし人間には考える力が与えられており、そういう『仕方ない』から目を背けず真っ向勝負し続ければ変えて行けるように思うのです。この社会が変わらないのは、そもそも変えようとしていないからです。
この作品に出てくる博士は社会を変えようとしました。そうして本当に変えた。よりよい社会に。(作中では明暗を描き、本当にこの研究が良かったのかの是非を読者に問うていますが、私は明るい部分に強く惹かれこの作品のような世界になればいいとすら思った過激派です)
選ばれた優秀な者が、本気で社会を変えようとすれば変わるんです。
私は学者ではないから科学的な側面からアプローチすることは出来ません。
けれども、書くことは出来る。それはこのレビューであったり自作であったり。
ぜひこの作品を読んで、深く考えてみてください。
本を読むと言うことは、すなわち考えると言うことです。
考える人が増えれば、社会は呼応します。民は社会の中でしか生きられませんが、社会は民意に逆らえません。我々が民意を作るのです。
力ない人間の意見など、ただの駄々でしかないかも知れない。けれど、駄々でもいい。ガキでもいい。どうしてこんな社会なのだと駄々をこねることすらせずに、「仕方ない、仕方ない」と首を縦に振る人間になど……なるな!
仕方なくなんかねえ! 私たちには抗う権利が与えられている!
不本意だ! 不条理だ! 不愉快だ!
大声で捲し立てて牙と爪を研ぎ澄ませ!
読後に私はこのように考え、あらぶりました。それくらいの力が、この小説にはありました。
読んだ人たちで議論を交わし合うのもまた、創作物の醍醐味だと思います。
どうか「仕方ない」で済ませている人間に、届いてほしい。そう願わずにはいられない、SF社会問題提起小説でした。