細部まで練りに練られた世界観に、ただただ圧倒されます。
ファンタジーなんだけれど、遺産相続の話も絡み合っていてミステリーな部分もある。キャラの魅力や醸し出す雰囲気を出すのがとても上手で、4-2のエピソードなんかは読みながら私まで息詰まるほどでした。
呪文詠唱や魔法などファンタジー要素もきちんとありますが、どちらかというとスタイリッシュな頭脳戦……のような印象。バトルがとにかく格好いい。
魔術界における三大派閥「自然主義」、「精霊主義」、「視象主義」など、この世界の独特な設定も多々出て来ますが、その都度きちんと説明がされているので混乱することはないでしょう。この世界観の練り上げも素晴らしい!
現代における魔術と、遺産相続によって絡み合う人間模様。
剣と魔法の異世界とはまたひと味違った現代ファンタジー、いかがですか?
現代に息づく魔術と、魔力の宿った書物・魔導書を扱う「魔導書管理局」の魔術師たちが、遺産をめぐる謎へと挑む現代ファンタジー。
主人公の花菱エリは、魔導書管理局に勤務する魔術師の一人。彼女の元にある日、差出人不明の手紙が届きます。それは、とある魔術師の遺した【コルテンティアの遺産】の相続人候補として、あなたが選ばれました――という内容でした。
魔導書管理局の局員として看過できない事情に動かされ、彼女は同じく「相続人候補」として選ばれた「魔術司書イズミ・カーティス」と一緒に、候補者の一人である「故人の娘セレーナ・コルテンティア」を護衛することになります。
予想に違わず、三人が選定会の行われる「レイラ・コルテンティアの居館」へ向かう途中、馬車を襲撃する者があって――、
個々の思惑だけでなく、魔術師たちの派閥や因習までもが複雑に絡み合っているかもしれない「遺産相続選定会」。既に明らかになっているだけでも複数の意志が関係しており、今後も増えるかもしれない不透明さ。
陰謀が渦巻く閉ざされた居館で、エリは無事に依頼人を守り抜き、選定会の謎を解くことができるでしょうか。
魔術が絡むミステリーがお好きでしたら、ぜひご一読ください。