反骨と迎合

反骨と迎合

「ねぇ、お祖父（じい）ちゃん……これって、お祖父（じい）ちゃんだよね？」

　正月２日に俺の家に集った子供達が連れて来た孫の新太郎と瑠理亜（るりあ）がスマホ……今は別の呼び名になってるし、俺が若い頃の「スマホ」とは操作方法が大きく変ってるが、俺達の世代はスマホと呼んでいる……を俺に見せながら、そう言った。

　新太郎は、俺の長男の子供で、瑠理亜（るりあ）は俺の長女の子供だ。

「どれどれ……ん？」

　今では廃れた……正確には、俺達の世代は、まだ使っているが……某ＳＮＳのスクリーンショットだった。

　１つは三〇年前の投稿。

『キラキラネームの子供が、いじめられるなら、親が悪い。いじめられている子供は、いじめっ子じゃなくて親を恨め。俺が子供だったら、いじめっ子じゃなくて親を訴える』

　もう１つは一〇年前の投稿。

『シワシワネームの子供が、いじめられるなら、親が悪い。いじめられている子供は、いじめっ子じゃなくて親を恨め。俺が子供だったら、いじめっ子じゃなくて親を訴える』

　若い頃はＳＮＳ上で自分の投稿がバズるのが楽しみだったせいで、逆にあっちこっちから阿呆扱いされ……「かつてのＳＮＳ上の有名人は今」みたいな感じで誰かがネット上に晒しやがったらしい。

「ええっと……それは……その……何だ……。どうして、そいつが、お祖父（じい）ちゃんだと思った？ お祖父（じい）ちゃんが、こんな事を言ったりする訳ないだろ」

　だが、初動でキョドったせいで、胡麻化すのに失敗したようだ。

　その年の夏から、２人の孫は俺の家に来なくなった。