諦めかけた希望の光。俺がトラックに乗せて前に進んでやる。

名古屋から福島まで大型トラックで荷物を運ぶ「有限会社巽運送」の二代目社長・巽晃一、四十一歳。
いつもの如く福島に荷物を降ろし、名古屋へ帰宅する。それが帰り道に、車のトラブルで拾った謎の美女サイカを車に同乗させた事から、物語は日常から、非日常へと大きく変わる。

 行先は自宅の名古屋から、予想外の北九州へと——。

謎めいたクールビューティなサイカと共にする少年アトリ。この二人を追ってくる謎の組織の二人組。巽は無事にサイカとアトリを目的地に送り届けることが出来るのだろうか?
逃げる者と追う組織のハラハラドキドキの予想外の展開は、手に汗を握る程に引き込まれます。
SF要素を持ち、人権や道徳にまで関わる深いテーマを持つ物語。絡み合う人間模様に、胸が熱くなるシーンも……。逃げる二人を過去の自分の家庭に重ねる巽の回想シーンは切なくなります。

怪しげな研究所。不安と微かな一握りの希望。疑う事を知らない無垢な感情。巽への芽生え始める信頼。姉と父親との確執。巽とサイカの惹かれ合う想い。どこまでも追いかけてくる組織の二人組。描写がリアルで、目に浮かびそうです。
アクション&フューマンドラマが凝縮されたエンタメ小説。スケール感もタップリで読後の爽やかな清涼感を、きっとアナタも感じるでしょう。

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