この世界でも、一番優しく、そして厄介な存在は人間なのかもしれない。

主人公の青年ランテ。彼には記憶がなかった。自分の正体も、なにもかも。
彼が目覚めた世界は「白軍」「黒軍」なるふたつの派閥が争い続けていると、彼を助けた人達……セト・テイト・ユウラ……から聞く。
彼は彼ら彼女らの仲間となり、自分の正体を求めて、この世界の謎を解くべく、戦いの渦中に乗り込んでいく……。
まだ序盤までしか読み進めていないのですが、印象に残るのは、ランテたちが属する「白軍」内とて一枚岩ではなく、その内部には「人間同士」の策謀と対立が渦巻いているところです。これが現実の紛争のなかにもありそうな人間模様、人間ドラマを醸し出しており、リアルの世界とどこかシンクロするものを感じました。そこに立脚した物語世界ですので、ファンタジーといえども、絵空事のように思えない迫力や説得力があり、ついつい読む者を引きずりこみます。
よって、読み応え十分。
この先も長く続く物語のようですが、末永くこの世界観を堪能し、共有していきたい欲求に駆られています。
みなさまも、ぜひご一緒に。

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