現代③
「おお、たくさん作ったなあ。」
「お母さん、ありがとうございます。」
昭悟たちも居間に集まる。息子夫婦は県庁で立派に働いている。
「食べてみてくれる?味見してないけん、美味しいか分からんけど。」
食卓に並べられた、かぼちゃ料理の数々。これらは全て孫たちのために用意したものだ。自分には手巻き寿司を買っている。
忌々しいかぼちゃを目にするだけで胸が締め付けられていた頃の私には、想像つかないだろう。このテーブルを埋め尽くすかぼちゃ料理は、私が心から望んで用意したものだと言うことを。
かぼちゃによる苦しみを、乗り越えられたかどうかは分からない。
だけど孫のためを思えば、かぼちゃがこんなにも愛おしい。
「おばあちゃんは食べんの?」
私は結構!かぼちゃなんて、金輪際まっぴら御免!
「アンタらが美味しそうに食べる顔が見られれば、それで腹が膨れるんよ。」
かぼちゃはまだたくさん残っている。次はどんなかぼちゃ料理を作ろうか。
頭の中は、かぼちゃでいっぱいである。
食卓はかぼちゃ一色 夏木郁 @Natsukiiku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます