雪月花ver2

明日波ヴェールヌイ

ネットではお世話に……

「お疲れ様です!仁井ニイさん!」

私は声をかけられた方向を向く。そこには書類を抱えて笑顔で向かってくる私の部下が居た。

部累ベルイさん、お疲れ様。」

部累というこの子は比較的仕事もできるが、ちょっと抜けていて面白い。何より私と少し似たところがあるのか、話が合うのだ。

「今日の案もすごいです……やっぱりその身に立てる人間は違いますね」

私達は今とある創作物のサイトのイベントを練っている。今はひと段落終わった所だった。私達はクリエーターが食べれるサイトを運営している。その情報収集と私の趣味も兼ねて研究室というのも運営しているが、それはまた別の話。部累さんも知らないはずだ。

時間を確認するためにスマホを確認する。ホーム画面には昔、サイトができる前に私が作った思い出のイラストが映し出されている。

「そのイラストってなんかの思い出なんですか?」

彼女がは興味津々という様子。話のネタにもなりそうだったので、この絵について私は話し始めた。

「これは私が最初の方の企画で使った絵でね、題名は(雪月花)っていうの。これで知り合いの人たちと小説を書き合って、それでコンテストもやってみたかしら。それだからちょっと思い出のある絵なのよ。」

「イラストも描けるんですよね……仁井さんは。いいなぁ……私なんて下手すぎて…遠く及ばないですよ」

彼女が絵を描くなんて初耳だ。どんな絵を描くのか気になった私は、

「ちょっと見せて?もしかしたらアドバイスできるかもしれないし」

と理由をつけて見せてもらおうとした。部累さんはふっと口元を緩ませて

「仁井さんのお願いならしょうがない……後悔しないでくださいよ?」

そういうと彼女はスマホを取り出しSNSを開く。そこには、見たこのあるアイコンが浮かんでいた。私の界隈でちょっと有名な変態のアイコンだ。

「初めまして、エロ河童さん。○○○です。ネットではお世話に……」

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雪月花ver2 明日波ヴェールヌイ @Asuha-Berutork

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