第2話 戦闘会場……放棄された小型コロニー

 火星の地上に建設されたドーム型の小型コロニー。

 直系200mの半球形をしている。高さは100m。


 火星の大気は二酸化炭素濃度が異常に高い為、地球と同じ大気成分に調整してある居住空間。元々は火星環境維持システム“アイオリス”建設のための作業員収容施設として建設されたもの。アイオリス周辺に十数カ所設置されている。

 現在は火星環境が悪化し寒冷化した為、厚い雪と氷に覆われている。積雪は地上20m程度。ドームは2m程度の氷で覆われている。通常の出入り口は積雪のため使用不能。


 電力は今もアイオリスから供給されているが、稼働しているのは生命を維持するための最低限の機能だけである。ただし、中央のコントロールルームから照明と温度の調節は可能。酸素、二酸化炭素、窒素の濃度は自動的に調整されている。ドームは2メートルの氷に覆われているため、照明がないと昼間でも薄暗い。気温はマイナス10度程度。


 外への出入り口は東西南北の四か所にあるが、氷雪に覆われて使用不能。西にはヘリポート、東には立体駐車場が隣接しているが、もちろん使用不能。


 中央に円筒状の塔があり、ドームの天井へつながっている。塔の一階はエントランスホールとレストラン。二階が事務所と会議室。三階がコントロールルーム。電力はアイオリスから供給されているが、予備の発電システムも地下一階に設置されている。東西方向に細長いかまぼこ型の居住区が北と南に二棟ずつ計四棟建てられている。塔の西側に大き目の倉庫、東側は小さな公園になっていて、ベンチと子供用の遊具がいくつか置いてある。ただし、植物は一切ない。また、食料や水も一切置いていない。


 放棄されてから二百年が経過しているのだが、施設のメンテナンス用アンドロイド“メンテ君”と清掃用のバケツ型ドローン“きれい君”が稼働しているため、内部は清潔に保たれておりゴミが散らかっているという事はない。

 メンテナンス用アンドロイドは三体。円盤型の清掃用ドローンは五体いる。メンテナンス用アンドロイドが自己修理できるため、これらはほぼ、無限に稼働できる。

 メンテナンス用アンドロイドは基本的に二足歩行だが、必要に応じて正座の姿勢を取る事でキャタピラ駆動する。両脚の脛の部分が変形する。両手は五本指のマニピュレーターを持ち、それとは別に胸から二本の補助腕が伸びている。補助腕の方に各種電動工具や溶接装置などが内蔵されている。オレンジ色で目立つ。丸い頭と丸い目はC-3POっぽい。

 清掃用ドローンはバケツをひっくり返したような円筒状をしていて、自分が接地している部分の埃等を吸い取っている。大きなゴミはマジックハンドで頭部に設置されているカゴへ放り込む。一応、四つの車輪で動いているが、階段などは圧縮空気を噴き出してジャンプする事で乗り越える。こちらは青色。頭部のカゴを取り去り丸い頭を付ければ、R2-D2に見えない事もない。


 これらは全て戦闘用ではなく、人に向かって暴力を振るう事はない。


 一応、メンテ君は人間が扱える武器なら扱えます。また、補助腕の工具も使い方によっては殺傷力があります。きれい君のマジックハンドは銃を扱えません。武器を運んだり地雷を置いて来たりと言った補助的な役目しか果たせないでしょう。



※ざっくりとした位置関係



        北出入口

    

       居 住 区 A

       居 住 区 B   

ヘ 西              東 立

リ 出   倉  中央  公   出 体

ポ 入   庫  の塔  園   入 駐

| 口              口 車

ト      居 住 区 C     場

       居 住 区 D


        南出入口


※この配置図は文章を縦組みにした場合は正確に表示されません。


※出入り口はエアロック構造になっていて、エアロックに入ると場外判定となります。


※ドームの天井は大口径機関砲やミサイルが命中すると穴が開きます。2mの氷が割れた場合は場合は、二酸化炭素濃度が50%の火星の大気にさらされるので、数分で呼吸困難に陥ります。酸素は20%ありますが、二酸化炭素を取り除く専用の呼吸器を装着するか、宇宙服のような装備が必要になります。ジャーニーとヒョウガは専用の呼吸器を所持しています。

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ジャーニーとヒョウガ 暗黒星雲 @darknebula

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