4. “浄化”の神様

 じょうというのは、たいていうそいつわりだ。ほとんどのあいなにかにけがれをなすけることによってそれはせいりつする。しかしひとにとってはけがれであるものが、またべつひとにとってはなにのあるものというケースもある。いずれにせよけがれはなくなることはなく、けがれがあるかぎじょうというこうつづいていく。

 そして、ぼくはそれをつかさどる、じょうかみである。

 ぼくぶっしつがいねんじょうすることができるのだが、このすべてをじょうすることはできない。

「いらっしゃいませー。」

 ぼくがコンビニでバイトをしているのは、このかいからすためである。ほかもくてきがあるわけではないが、ここにとどまっていてはいけないことは分かっていた。

 さきほどらいてんしたおとこ――かれまいにち5ほんぜんかんビールをっていくが、かれかいとらわれているのだろうか。げんのいいかおをしていたことがないので、いずれにせよくるしんでいることにわりはないだろう。

 今日きょうこんげつのバイトだいもらったら、ぼくりんびょうしつく。

 そのあと、どうしようか。まだ、めてない。




「――やぁ、ひさしぶり。」

 そのしょうじょうのは、ほんとうひさしぶりだった。

 かのじょずいぶんせいちょうしていたが、あのころおもかげのこっていた。

きみおぼえてないだろうね……きみが3さいときいっしょあそんでたんだよ。」

 かっている。これはエゴだ。かのじょおぼえているわけもないのに、そんなことをくちにしてしまった。

今日きょうは、おいにたんだ。ほら、おいとえばりんでしょ?」

 すこおおあかるくい、ってきたりんけさせた。かのじょりんながめているすきに、まどぎわからびんにエーデルワイスをす。

 このとしになると、それがいであれ、あいおさなしょうじょであれ、はなわたすというのはずかしいものなのだ。このかんじょうも、けがれとえる。

 8とうぶんしたりんらんざつさらにのせる。

「どうぞ。」

「いただきます。」

 かのじょは、りちわせ、つまようりんはじめる。かのじょくちかられるスローペースのしゃくおんびょうしつつつみ、しつくうかんわずかにったのがかんじられた。

 りんくだいたちいさなくちから、よわよわしいこえされる。

しい······しいよ······」

 とつぜんしてしまった。あわてるぼくひっなだめると、かのじょいたのか、ゆっくりとはなす。

いまからはなすこと、しんけんいてくれる?」

 ぼくだまってうなずく。

 かのじょしんきゅうすると、くうふくさきほどよりめいかくあいまいさをった。

わたしは、さんじんせいおくった。んだしゅんかんね、まれわっちゃうの。」

 それからかのじょは、さまざまなことをかたった。いちじんせいへいたんみちあるいておそわれたぜつぼうじんせいけわしいやまみちからのかつらく。それをみずかてきたかのように――いや、ほんとうてきたのだろう、しんけんひょうじょうたんたんかたっていた。

「へぇ……まれわり……」

「そう。ずっとねないんじゃないかとおもうと、なんだかこわくて――。」

 しょうじょおぼろなためいきは、どこへかうでもなくくうちゅう彷徨さまよっていた。

 ぼくおなじだ。

だいじょうきみはちゃんとねるさ。いまきてるじゃないか。きてればみなねる。きみも、ぼくも。」

 そうだ。ぬまでぼくらはきている。いまかいからげて、げて、そうやってきていくんだ。

「ありがとう、ありがとう······」

 かのじょちいさいうでにそっとかえされた。

 そして――ぼくは、かのじょさとられぬよう、そっとかのじょりんった。じょうしたのだ。これで、かのじょほんとうぬことができるはずだ。

 これは······エゴだろうか。




 ぼくはこのかいからげる。あなたにかとわれてもこたえることはできない。それはぼくがこのかいにいないからだ。あなたも、はやくそこからげたほうがいい。

 ぼく土産みやげに、このかいじょうする。きっとこのかいは、つまらなくなるだろう。すべてのかみかみたるかくて、一人ひとりというたんひんとなるだろう。それでも、ぼくはやらねばなるまい。

 さくひんかいぼくが、このさくひんじょうする。じょうしたら、けがれをったぼくはこのかいのこることができない。




 さて、これからどうしようか。

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神様の世界 亞屍(あかばね) @Akavane

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