3. “輪廻”の神様

 ながいこと、きてきた。

 もうさんになるか、とこんかいじんせいかえる。いままでのくらべてみじかかったが、けっしてわるじんせいではなかった。

 わたしさいしょいっぱんてきていいっぱんてきだんとしてたんじょうした。いっぱんてききょういくけ、いっぱんてきぎょうき、いっぱんてきりょくかさね、いっぱんてきせいしんてきこうげきけ、いっぱんてきゆうさつした。ぶんでも、つまらないにんげんだとおもった。もしまれわることができたら、もうすこおもしろみのあるにんげんになろうと、そうおもった。

 そして、まれわった。

 わたしはとにかくわろうとおもい、ひっせいさがした。しょうがっこうのクラスメイトの一人ひとりあいかたび、まんざいまがいのことをしていたのを覚えている。いっぱんてきかんかくしきぜんしゅうとくしていたわたしにとって、ひとわらわせるのはそれほどむずかしくはなかった。18でしょはいうでげていくも、27でせつ。そのころにはぜんのこともわすれていたのか、ぜつぼうすえみずかいのちった。

 また、まれわった。そうか、わたしねないのだ。そのときさとった。

 さんじんせいは、おもやまいわずらったしょうじょとなった。

 まれたころから、いまいままでびょうしつそとたことがない。いちじんせいならたいようもとてみたいとおもっただろう。たいようのあるかいんだのだ。こんかいばかりは、やつかおなどずにんでみたいものだ。

 わたしにとって、やまいこうふくだった。わざわざぶんなずとも、じきにぬことがまっているのだ。




 寿じゅみょうまってるって、らしいなあ。




「――やぁ、ひさしぶり。」

 あるわたしもとせいねんたずねてきた。わたしかれおぼえていたが、それではあまりにもぜんなので、わすれたことにした。16さいかれが、5ねんまえのことをおぼえているのもぜんではあるが。

きみおぼえてないだろうね······きみが3さいときいっしょあそんでたんだよ。」

 そうってもつをガサゴソとあさる。

今日きょうは、おいにたんだ。ほら、おいとえばりんでしょ?」

 ビニールぶくろからりんした。りのバスていからここまでのとおみちはスーパーをよこるので、おそらくそこでったのだろう。わずかにしろせんはいったこうぎょく。――かんがえてみれば、こうぎょくさんつよこうようてきしているのだが、こうでもこうしてしくあじわうことができるのは、せいさんしゃりょくたまものったところか。

べる?」

 わたしうなずいた。

 せいねんこうぎょくってびょうしつた。そしてしばらくして、8とうぶんされたそれをざられてもどってきた。

「どうぞ。」

「いただきます。」

 ようななめにさしてべるりんあじは、わたしいままでのことをかいさせた。

 じんせい。またさつしてしまった。なさけない。いのちは、たくさんあればにしていいというわけではないのに。

 かくができていても、ひとみずかいのちつべきではない。

しい……しいよ……」

 とうとつなみだながわたしあせせいねんわたしさんわたじんせいに、ここまでじゅんすいにんげん一人ひとりでもいただろうか。

 かれになら、なんでもはなせるがした。

 わたしは、かれいっさいのことをはなした。さつをしたこと。んでもにきれないこと。とっぴょうもないはつげんしょせんようじょざれごとてられるかもしれない。それでもいいから、わたしはこののうだれかのみみとどけたかったのだ。

「へぇ……まれわり……」

「そう。ずっとねないんじゃないかとおもうと、なんだかこわくて――。」

 かれしんけんわたしはなしいてくれた。それが、うれしかった。

だいじょうきみはちゃんとねるさ。いまきてるじゃないか。きてればみなねる。きみも、ぼくも。」

 わたしめるかれうで

 そうか。わたしまれた、こんなふうしゅくふくされていたんだ。つらくなってかいさつしたとき――そのときわたしはそのことをおぼえていただろうか?

「ありがとう、ありがとう······」

 わたしは、かれなかまわした。かれことに、かれこうに、わたしすくわれたのだ。

わたしは、あなたにすくわれた。わたしも、すくいたいひとがいるの。」




 あいかた――いや、せきゆきひとは、わたしじんせいともあゆんだせんゆうである。

「──わたしね、おはなきなの。」

 わたしは、わたしとしてではなく、わたしあやつしょうじょとして、かれった。

「いつかれるよ、きっと。」

れるのは、いや?」

「それは、はなする。わたしは、きではないかな。」

 むかしからそうだった。かれきらいなのに、だれかがんだとていっさいあいかんじないにんげんなのだ。

ちがうよ。おはなは、きてるよ。きようとしてるもん。」

 だませきつづけて、わたしかれさとすようにことげかける。

ものみんなきてるよ。きてるか、いないかだけ。んじゃうのは、きたくないひとだけだよ。」

「……。」

「おじさんは――ちゃんときてる?」




 わたしにはかる。かれのうとしていたこと。かれわたしおなじであること。

 わたしことわらなくてもかまわない。わたしかれすくうのと、かれわたしすくわれることは、けっしてどうではない。わたしすくったかれは、いずれだれかにすくわれるだろう。

 わたしももうながくない。はやく、つぎじんせいかねば。

 のこりのどくはくはそこでしようではないか。

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