最終話 Nice To Meet You, Alien
特にこれといって大きな出来事が起こらないまま日々は過ぎていく。
「おい翔太、今日このクラスに転校生が来るらしいぜ。しかも女子だ。さらにめっちゃ可愛いらしい!」
こいつは隣の席の前田。多趣味なせいか顔がとても広く学校で知らない人はいないのではないかと思うほどである。今はオカルトにハマっているらしい。
「そうか。正直興味ないな」
「お前はそういうやつだよなー。せっかく美少女が来るかもしれないってのに。男ならテンション上がるだろ普通」
「お前の普通は知らん」
「そういえば俺が前見せてやったUFOの映像だって興味なかったな」
「当たり前だろ。どうせお前がでっち上げたものに決まってる。第一、宇宙人なんていないからな」
「夢がないなー。もしかして宇宙人が転校してくるかもしれないぜ!」
「バカじゃないのか?宇宙人が学校に来る意味が解らんし、そもそもこの学校である理由なんてないだろ」
「そんなむきになって否定しなくてもいいじゃねえか。理由なんてこの学校に好きな人が居るとかじゃないの?」
「……適当だな」
こんなくだらない話をしていると、俺たちの担任の都田先生が教室に入ってきた。
「おはよう、みんな。元気か、先生は朝から元気爆発だ!はっはっはっ。今日はみんなに嬉しいお知らせだ。おい、入ってきていいぞ」
この口ぶりからするとやはり転校生か。
「紹介しよう。今日からこのクラスの一員になる赤宙せきぞら 未来みらいだ」
「私は赤宙 未来って言います。これから一年よろしくお願いしますぅ!」
どこかで見たことがあるような気がして記憶を探ってみたが彼女のことは何も出てこなかった。しかし、何故か心の奥がじんわりと温かく感じる。少々語尾が気になる自己紹介をした少女は俺と目を合わせるといたずらを仕掛けた子供のように、にっと笑ったのだった。
エイリアンいんべーしょん! やしろ みよと @MiyotoYashiro
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