宇宙0キロメートル
水無月 零夜。
第1話
《出会い》
「転校生を紹介しまーす。」
教室中がガヤガヤしている。
この学校に転校生がくるなんて、珍しい。
私、
「……
「……えっと……名前も……」
「……いわない」
「……え…」先生が困り果てている。
「……言いたくないです、もう座ってもいいですか」
「少し、自己紹介してもらってもいいかな…」
「……趣味は、星を見ること…よろしく」
と言うと冬崎は、私の左の空いている席に向かって歩いてきた。……だから転校してきたのかな…などとあまり無さそうな理由を考えながら、私はチラチラと歩いてくる彼の顔を見た。前髪で左目が少し隠れ気味になっている。しかし、もっと気になることがある。彼はどうして名前を言わなかったのか。そんなに変な名前なのか、キラキラネームというやつなのか。どっちにせよ、私は彼の名前が気になる。休み時間になったら聞いてみよう。
〜 休み時間 〜
1人でずっと外を眺めている彼に、名前を聞いてみることにした。「ねぇ、冬崎くん」すると、ゆっくりとこちらに目を向けてきた。目で「何?」と訴えかけていた。「…なんでさっき名前言わなかったの?」「……別に、言わなくてもいいだろ、んなこと……」「でも気になるんだもん……教えて?」「何度頼まれてもその願いは聞けねぇな」「…じゃあなんて呼んだらいいの?」「名字でいいだろ、いちいち名前で呼ばなくても……」彼は私から目を逸らしてしまった。私のクラスは、みんな仲がいい。男子も女子も関係なく、みんな名前で呼んでいる。そんな中1人だけ名字で呼ぶのも、仲間外れにしているようで、私にとっては嫌だった。「…んーでも、名前で呼ばせてよ!私仲良くなりたい!」すると背後から声がした。
「俺らにも教えて〜」
そこに居たのは、私が1番仲良くしている男子4人組だった。左から、
「ねぇ、良かったらうちの天文部に入らない?」
「……やだ」
「なんで?」
「…俺は一人で見るのが好きだから」
「……えぇ、みんなで見るのも楽しいよ?」
「………」
この時の私はまだ知らなかった。
これが一生に一度の、最高の出会いだったということを。
宇宙0キロメートル 水無月 零夜。 @Ray_MRN
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