最新の「16.モスクワの茶話会 ⑤」まで拝読しました!
とにかく、競技のシーンの描写が圧倒的にいいです!
私はアルベールビル五輪あたりからフィギュアを見始めて、『世界大会だけでなく、各国のナショナルとかB級大会をライストで見る』『ジャンプがある程度見分けられる』程度のフィギュアファンです。
途中、実在の選手やコーチをモデルにしているのかな、と思った箇所があり、勝手にニヤリとしていました(笑)。
ジャンプだけでなく間に挟む技まで徹底的に描写されていて、滑っているところが頭に浮かぶようでした。
そこに、主人公の雅と哲也を中心とした登場人物の、十代特有の心の動きが合わさり、素晴らしい青春スポーツ小説になっていると思います。
シーズン1はジュニア時代の話。
滑っているときの描写はどれも食い入るように読みましたが、とくにこのシーズン1のヴォルコフと哲也の演技については、息をするのを忘れるほどの迫力!!
それぞれの演技が終わった後、心の中でスタオベしました。
また、雅ちゃんがトリプルアクセルを飛ぶシーンは「飛べ! 飛べ!」と念じておりました。
ジュニアの試合ですが、シニアを入れてもこれほど素晴らしい大会は稀だと思います。実際の試合だったら、今でも何度も録画を見直していただろうなぁ……。
シーズン2では哲也も雅も成長して、互いの恋心が心理描写の中心に。
読んだところまでですといろいろなことがあってすれ違っていて、これもまた青春だなぁと思っております。
そしてジョアンナ怖い(笑)。
以下、特に好きになったキャラクターについて書かせてください。
●堤コーチ
まずこの方です。
こういう、ちょっと飄々としていて、何か人たらしっぽいキャラ、ストライクなのです。好き!!!
●ヴォルコフ
競技においては宇宙人、私生活でも地球の文明でははかれないような不思議くんぶりが良かったです。
●レベッカ
雅に郷ひろみを滑らせた戦犯一号(笑)
途中、演技で使われている曲がいくつも出てきましたが「私の中でこの曲といえばあの選手の演技!」みたいな思い出があったりして懐かしくなりました。
素敵なお話をありがとうございます。
「演技シーンを本格的に描きすぎた」というキャッチに偽りなく、演技とプログラムの描写が素晴らしい。動きにしても、選曲にしても、実際にフィギュアスケートを見ている気分になるし、挑んでいる気分にもなる。
この物語には二人の主人公がいる。一人は、自分より若く才能あふれる選手に追われる男子選手。もう一人は、両親がかつて優れた選手でありサラブレッドとしての注目を集めてしまっている女子選手。
二人はそれぞれの状況に苦しんでいる。それを抱えて、世界選手権という大きな舞台に望む。
そこで見た景色を、皆さんにも見てほしい。
(シーズン1までを読んでのレビューです)
フィギュアスケート
スポーツカテゴリーにあること自体に違和感を感じる者達も少なくはないだろう。
「選手(アスリート)」も確かに多い。大部分がそれだ。
しかし、
その大半も、自分はフィギュアアーティストになろうとして、フィギュアスケートをやってる、と思う。
動画で見てさえも、われわれ一般の「ひと」が見たって、彼ら彼女達が氷の精なのではないか?と少しはわかるくらいだ。
演技。一度きりの、その時のそれだけ。二度と同じものはない。
クラシックの演奏と同じ。
神に捧げるものが音楽だった。
では、彼女達・彼らアーティスト達の演技は、、
フィギュアの元妖精達は、彼ら彼女らの故郷に帰りたいがため、その失った氷の羽を取り戻す。
そのためのスケート。
反面、
そして、人としての生活、も彼ら彼女らに負わされた「ひと」としての命題。
自らを人と認識し容認し、しかし、心は知らずに氷の世界への郷愁に溢れる。
2つの世界を持つ者達の、物語。