第81話「退くも、地獄。進むも……」


─── あとがき ───

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※『犬小屋ダンジョン』

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─── 本編です ───



 は??



 な、なに言ってんのこの子??


「魔王軍のすべてに繋がっている……?」

 あ、声に出ちゃった。


 リズの衝撃的な一言。思わずグエンはオウム返しに呟いてしまった。


「そーよ。もちろん推測だけどね。でもこの広大に空間をみて、もしかしたらってね」

 言われてみてもう一度ダンジョンを見渡す。

 確かに広い。

 まるで暗黒の世界が丸々ここにあるかのようだった。


「…………マジかよ」

「す、凄い……。これ全部がダンジョン……??」


 憶測といわれても、……そうかもしれないと言われれば、そうとも思えてくるから不思議だ。


「まぁ、広さが分からないから、実際のところはわからないわ。だけど、この広大な空間で闇雲にゲートやコア。ましてやボスを探すなんてほぼ不可能じゃない?」


 確かにそうだけど──。


「いや、待てよ。このダンジョンが仮に外と同じ広さを誇っていたら、どれだけ歩くんだ? ましてや──……あ、」


「そゆこと。アンタに期待してるわよ。グエン」

 可愛らしくパチリとウインクするリズ。


「いやいや、おいおい……」


 マジで、おいおいだよ。

 まさか、ここで光速で移動しろってか?


 ……死ぬぞ。 


「そんな顔しないでよ。アタシだっていきなり移動しろなんて言わないわよ。ある程度調査をして、確信が持てたら──の話よ、…………だか、そんな顔しないでってばー!」


 グエンは相当嫌そうな顔をしていたらしい。

 リズが慌てて取り繕うように笑う。


 でも、それっていつかはやらせるってことだよな……?


「こんな真っ暗闇を飛ぶのか? 勘弁してくれよ……」


 着地点が真っ暗だなんてゾッとする。

 ましてや、ダンジョンだぞ?


 地底湖とかだったらどーすんだよ?!


「でも、他に方法はないわ。上に戻ってイチかバチか入り口が開くのを待つ?」

「いや、……それは──」


 無理だろうな……。


「だから、行くしかないのよ──」 


「ほ、」

 ……本気かよ?!


 思わず叫びそうになるグエンだが、それをグッと抑える。


「……いや、わかった。行こう」

「あら。もっと食い下がると思ったんだけど??」


 少し意地悪そうに笑うリズ。

 だが、グエンは知っていた。小刻みに震えるリズの両手も観ていた──。


 だから、わかる。

 本当はこの子だって怖いはず。


 そして、行きたくないはず────。


「……怖くないのか? って、顔ね」

「え、あ、あぁ……。怖くないのか、リズは?」


 グエンの声に肩をすくめるリズ。


「そりゃ怖いわよ。だけど、それでどうするの? 足をすくめてガタガタ震える? 布団をかぶって耳を塞ぐ?」


「いや、それは……」

「う。…………僕ならしちゃうかも」


 そっと目をそらすグエンとシェイラ。

 だが、リズは笑うことなく続けた。


「…………普通はそうよね。だけど、恐怖は毒薬よ。ジッとしていれば収まるかもしれないけど、それは弱い毒の場合だけ──。だけど、強い毒……つまり、強大な恐怖はどう? ジッとしていれば治る? それとも去るかしら?」 


 いや……。

 治るわけがない。


「無理だろうな……。恐怖の対象が何かもによるだろうけど──命の危険があるとみるべきだ」

「そーよ。だから恐怖は毒なの。……本音でいえばアタシだって怖いし、こんなところ行きたくわよ。だけど、行かなきゃどうにもならない──なら?」


「なら……」


 そう。

 ならば────。






「さ、先に進むしかないってこと?」



 三人が、暗闇の先をジッと見つめる──。







────↓あとがき↓─────


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SSランクパーティでパシリをさせられていた男。ボス戦で仲間に見捨てられたのでヤケクソで敏捷を9999まで極振りしたら『光』になった…… LA軍@多数書籍化(呪具師100万部!) @laguun

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