講評を受けて
※乱文注意
2020年8月24日、第一回イトリ川短編小説賞の講評が発表されました。
まずは受賞者の皆様、おめでとうございます!
参加者、ならびに評議員の皆様、どうもありがとうございました。受賞作以外にも素晴らしい作品が目白押しで、大変楽しませていただきました。
というか私が内心「これが推しだ!」と思っていた作品が、実はひとつも受賞リストになかったので、受賞作品以外も面白いんだぜ凄いんだぜ、ということは自信持って言えます。
これは大事なことなんですが、このズレは決して評議員の方に見る目があるとかないとかの問題ではなくて、個人の好みが出た結果の相違です。特に私の好みが。
さて、講評は凄かった……すごすぎる……語彙がとけちゃう……。
今まで私が書いたレビュー見ていただいたら丸わかりなんですけど、私、感想とか講評とかめちゃくちゃ苦手で下手なんですよ。評議員の方は尊敬するしかない。
そもそも、小説(あれ小説なのか?)を書く際も、かっこよく言えば直感的、ストレートに言えば何も考えないで書いてるので、筋道立てた講評は本当に有難い! 自分の力では得られないものだからです。
ちなみにどのくらい考えないで書いているかと言いますと、
「電車乗ってるけど、前に立ってる人絶妙な位置だな~今この人に殴られたら油断してるし絶対避けられないな~」
というところを出発点に、いや実はこの人、私のことを凄く殴りたいけど我慢してる人かもしれない。わからないけど本当は「電車の中で見知らぬ乗客をぶん殴ってみたいんじゃい」という欲望を胸に秘めてる人かもしれない……あ、なんかこういう感じでいけそうなお題の自主企画なかったっけ? みたいな感じでオチも決めずに書き進め、最終的になんかこれ好きかも、と思って投稿したのがアレです。
文章にしてみると、びっくりするほど頭悪そうで困っちゃう。
ていうかほんと申し訳ないんですけど、私今回〈謎のネオサイタマ〉氏の講評で「人物への感情移入力=憑依パワーがかなり高め」と書いていただいて初めて、「あ、これこれ主人公なりきりで書きました」と自覚したという体たらく。
自分が持っている道具が何たるかも知らずに振り回している、まさに赤ん坊のようなものでありました。この一文に出会えただけで、今回の参加に意義があったのではなかろうか。
さてさて、本編は主人公=長谷部唯が、電車内でひたすら悶々と妄想をするだけの内容です。彼女の欲求は結局果たされず、悶々としたまま電車を降りて終わるわけですが、個人的にはこの終わり方でよかったと思っています。悶々としたまま電車から降りて、そしてまた悶々としながら、翌日とかに電車に乗ってくるわけです。ネイルハンマーを持って。
こういう時限爆弾みたいな人間がその辺をウロウロしてるんじゃないかな、というところが起点の物語なので、爆発させたらそれで終わっちゃうというか、処理済の爆弾になっちゃって長谷部は長谷部じゃなくなっちゃうというかなんというか……。
本当に下手くそだなこういうの……。
ともかく、悶々としたまま電車を降りるラストでいいよな、と思っていたのですが、講評をいただいてみると、お三方とも「彼女がいかにフラストレーションから解放されるか」というところまで掘り下げると面白いのでは? とのご意見でした。
これはこれでなるほど! と思うわけです。
そういわれると続編が書きたくなってきますね。有沢くんの頭をぶん殴るにせよ、別のいい方法を見つけて安全な爆弾処理でハッピーエンドにせよ、もしくは全然関係ない人の頭を殴るにせよ。何かしら長谷部さんの願いに結末を用意してあげたいような気がする。
とか言いつつ、今のところ全然アイディアが思い浮かんでいないのですが、思いついたら書くかもしれません。このあたり、〈謎のかわいいちゃん〉氏の「梶井基次郎の『檸檬』を思い浮かべました」という一文には、「あっ! わかる! なんかわかりかけたかも!」みたいな、ちょっと光明が見えたんじゃないか的な感じがあり、素晴らしい感想だなと思いました。
また、〈謎の夜更かしさん〉氏の「青春小説ならその解放と、解放後の内省が醍醐味になるでしょう。」という個所も、もしも続編を書くとしたら、非常に重要な指摘になると思います。
私が青春小説……この私が……青春小説を……!? こんなこと、絶対自分ひとりじゃ思いもしませんよ。やっぱりイトリ川は凄いです。
また、単純に反省として、〈謎のネオサイタマ〉氏が主人公の動機について
「もう一歩踏み込んだ形で少女のバックボーンとかまで掘り下げていくとより妖しく面白くなるんじゃないかと」
とアドバイスをくださったのですが、まさにこれはやればよかった……! と今更ながら悔しく思いました。
私の中で「こういう性癖だな!」と思ってサラッと流してたんですけど、そんなこたぁ読者には伝わらないわけですからね。ちゃんと本文で掘り下げた方がよかった! と思いました……。
こういうところ、次回に活かそう!
ちなみにこのバックボーン的なものについて、さっきお風呂で考えてきたんですけど、
長谷部が幼稚園に通ってた頃に、幼稚園の近所のビルで工事をやってたことがあったんですが、高所に鉄骨を運んでたクレーンが何かの拍子にブレて、鉄骨が園庭に落下してきたって事件があったんです。幸い、その時は死者も負傷者も出なくて遊具がつぶれただけだったんですけど、もう阿鼻叫喚ですよね。最初に物凄い音がして、状況を把握するまでの「なになに?」っていう間があって、鉄骨の下で潰れてるパンダさんの遊具を認識した途端に、誰かがものすごい悲鳴を上げたんです。そしたらその場に「恐怖」が先んじて伝播しちゃって、泣くわわめくわの大混乱になったんですけど、その時ぼーっと立ってた長谷部の中で、何か「扉が開いた」って感じがしたらしいんです。胸の奥がホワワ~ンってなって、キラキラした気持ちが全身を駆けまわって、すごい! しあわせ! って、なぜかその時に思ったんですね。ただ長谷部は賢いので、「この気持ちを素直に出しちゃうと、叱られたり、友達に嫌われたりするだろうな」っていうこともわかったんです。以来、そのときのことを時々こっそり思い出してはホワワ~ンとなってたんですけど、だんだん不満が出てきたんですね。たとえばあのとき、鉄骨の下からはみ出てたのがパンダさんじゃなくて、潰れた誰かの足だったら、もっとエラいことになってただろうになぁ……みたいな感じで。十年かけて「あの瞬間をもう一度」と「もっとショッキングな事件でなきゃ」が掛け合わされた結果、ネイルハンマーで関係のない誰かの頭を殴る、というところに行きついたようです。
うん、こういうことを本文に書いたらよかったんじゃなかろうか。
そしてこれも、講評をいただかなければ思いつかないことでした。
なんだか収拾がつかなくなってきちゃったのでそろそろおしまいにしますが、拙作に講評をかけあわせて、なんらかのケミストリーが生まれるとすれば、私にとってこれは非常に貴重な収穫です。イトリ川の底には宝物が眠っていたわけですね。
しかし川系イベントには、怖いところもありますね……私、第二回こむら川に流したゴーストバスターのやつも続編やりたいんですよ。
やりたいことばかり増えて時間は増えない。川に流されたばっかりに何ということに……。
でも本当に楽しかったです。皆様、どうもありがとうございました!
また、乱文申しわけございませんでした。
イトリ川よい川 尾八原ジュージ @zi-yon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます