矛盾と壁

室園ともえ

「夢」それ故の苦しみ


 初めまして。室園ともえと申します。


 この度は私の創作論である「矛盾と壁」を手に取っていただき、誠にありがとうございます。


 これから私が書き記すことはしがない高校生の独り言です。所々ネガティブな描写がありますが、どうか最後まで読んでくださると幸いです。


 ───


 私には、夢があった。


 小学生の頃は消防士になりたかった。幼い頃から親の遺伝のせいか体つきがよかったこともあったが、1番の原因は当時見ていたドラマで感銘を受けたからだ。


 ただ単純に、格好よかったのだ。


 中学生の頃は水泳の選手になりたかった。私事たが、一度だけ県二位を取ったことがある。その時に心の内で「選手になりたい」と意識するようになった。


 これも同じで、格好いいからだ。


 この頃には消防士になりたいと言った夢は、私の頭の中から水泡のように消えて無くなっていた。


 そして高校生となった今、私は小説家になりたいと思うようになっていた。


 無論、格好いいからだ。


 このご時世、家で一日を過ごす機会が多くなったため、私は本を読むことが増えた。懐の許す限り、様々な系統の本を読んだ。それに感化され、「自分も小説を書きたい」と思い至った次第である。


 ……格好いいからばかりってことには触れないでくれると助かる。




 先月、進路相談で「将来の夢」について考える機会があった。


 私はこの「小説家になりたい」と意識するようになった経緯を、先程前述した通りに担任へ伝えた。


 元々担任とは仲が良かったこともあり、何かしら助言が貰えるかもしれないと思ったからだ。


 しかし、返ってきた返答は私の予想とは相反するものだった。




『お前、そんなくだらない夢持ってんのか?』




 私の幼い頃は「夢を持ち、そのために努力すること」を学んできた。自分の好きなこと、興味のあることを夢にする。


「〜〜が好きだから〜〜なりたい」と誰しもが一度は考えたことがあるのではないだろうか。


 しかし、高校生になった今はどうだ。

「夢より現実を見ろ」と言われ、これまで抱いてきた夢を現実という壁に容赦なく押しつぶされなければならない。壁は乗り越えるためにあるというのに、私たちはその回避方法を教えられるのだ。





 最初は「夢ばかりではなく現実を見ることも確かに大切だな」と考えた。夢を否定されたのは正直辛かったが、確かに担任が言ったことも一理あると、無理やり自分を納得させた。


 しかし私は、自分の意見を根底から否定されてすぐに立ち直れるほど強い人間ではない。実際、この出来事の後、私は一人誰にも見られない場所で声を抑えて涙を流した。自分の生きる指標を取り上げられたような気がして、これから何を目標に努力すればいいのか分からなくなってしまったからだ。




 別に笑ってくれて構わない。他人から見て私は大層笑いものにできる存在だろう。




 私は、比較的級友や親に比較的恵まれていると思う。毎日くだらないことで談笑したり、切磋琢磨したりしている。時折、将来について話し合うこともあった。


「お前大学どこ行くと」

「俺○○大学行って△△になりたい」

「私は□□かなぁ」


 それぞれが具体的な夢と、それにたどり着くに至った経緯。そしてそのために必要な努力。そのどれもがいつも突拍子に決めていた自分の夢とは比較にならないなぁと日々痛感させられていた。


 ポートフォリオに自分の進路をまとめる課題を出さなければならなかった時は、提出期限を最後の最後まで延期してもらってのだが、書くことは出来なかった。結局提出することのないまま、夏休みに入っている始末だ。


 私は担任に、その課題を夏休み明けにでもいいから出せと言われた。私は他の課題そっちのけで、ポートフォリオ作成に取り組んだ。


 書いては消して、再び書いては消してを繰り返した。理由は質素で、自分の納得のいくものが書けなかったからだ。そして幾度の添削によって消耗していったプリントは、ある日真っ二つに破れてしまった。


 あの時の虚無感は今でも鮮明に蘇る。




「自分の将来もになんのかな」




 破れたプリントを見ながら、私は無意識にそんなことを呟いていた。自然と、頬には涙が伝っていた。


 その日はやけに親を心配させたのを覚えている。私は幼い赤子のように、親の膝上で嗚咽を漏らすようにただただ泣いた。



 この時の自分が夢を持つとしたのならば、きっとこう願うだろう。



「夢なんて、なくなってしまえばいいのに」




 ───



 さて、私の体験談を交えながら「夢」について独り言を書き綴ってみたが、どうだっただろうか。まさか日頃ラブコメ書いてる奴がこんな重苦しい文章を書くとは思ってもいなかっただろう。


 いや、そもそも私がラブコメを書いていることすら知らない人が殆どだろうか。



 話が変わるが、謝罪を一つ。


 根っから暗い内容で本当に申し訳なかった。文才が無いのは自覚しているが、それ故の拙い文と上から目線の自分語りにストレスを感じたのであれば遠慮なく言ってほしい。


それでは、またどこかで。

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矛盾と壁 室園ともえ @hu_haku

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