恋愛の作法

第1話

「彼女に振られそうなんだ」

「え！この前『恋愛能力検定』準1級取ったのに！」

「そうなんだけど、オレあっちの方があんま上手くなくてさ。『恋検』って、実技試験ないだろ」

「それだったら、『カーマスートラ検定』受ければ？」

「『カー検』か。でもさ、受験料たけーんだよな。」

「彼女と別れる前に『失恋認定試験』受けとけよ。次の彼女、斡旋してくれるぜ」

「ああ。わかってる。一応『失恋保険』には入ってるから、今までの恋愛経費は保険が下りるよ」

「安心だな。でも、彼女もやっぱ、ちょっと精神的に不安定になるんじゃないかな？」

「『失恋保険』に『失恋後一年間見守りサービス』を付けといたから、たぶんそこは大丈夫だと思う」

「そうか。でもさ、恋愛って、保障がある恋愛なんて、そもそも駄目なんじゃないか？」

「わかってる。うすうす感づいてた。勇気がないんじゃないかって」

「そうか」

「だから、『勇気能力検定試験』受けようと思ってる」

終わり