世の中にファンタジー小説は数あれど、キャラクタが魅力的で、かつハードボイルドな物語はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
主人公は、タイトルどおり「酔っ払い盗賊」。取るに足らない存在だったハリスは、ある奴隷との出会いでその生き方を大きく変えていきます。
物語の骨子はある意味で「王道」なのですが、脇を固める魅力的なキャラクタたちの造形が秀抜で、王道ゆえに目が離せない。そしてどこかハードボイルドな空気が漂う筆致が、物語に深みを与えています。
色々書いてしまいましたが、伝えたいことはひとつだけ。
──文句なしに面白い!
素晴らしい物語を、ぜひ読んでみてください!
とりあえずこの物語はハイファンタジーかローファンタジーなら確実にローファンタジー。
うちは勝手にローファンタジーの定義を主人公の思考=嗜好 含めて『現実世界の大衆=俺ら にどれほど依っている=感覚が近いか?』と定めてるけど、この物語はそれに120%合致した!
ハイファンタジーでよくある主人公の世界をナメた思考=嗜好 や、ご都合主義もなく、堅実な主人公になんかホッとするし、ローファンタジーでありがちな緻密な設計による戦記物語ではないゆえに読みやすい(読みやすさは作者様の力量によるものが大半だとは思うが)のも好感触。
地に足がつきすぎてる主人公が働き盛りで現実を知って夢を見なくなった自分らと被って妙に共感しちゃうんだよなぁ。
加えて相方たる奴隷の女の子が甲斐甲斐しくて、思わず応援したくなる!
作者様を差し置いて脳内で勝手に主人公とその女の子のハッピーエンドを妄想するくらいには沼にハマりましたわ!