第18話 ギアの使い道
支配者を一人取り残し、元の世界へ戻ってくると早速修復作業に入る。
「やはり悪戯者が消えたからか、街の機械蟲が消えている。」
機械蟲の召還は本来キャンティスの能力だ、力が本人に戻れば暴動も止まるしかし傷めた跡は残らない。
「協力願いたい
修復作業に入ってくれ。」
人手不足を補うには過去の力を利用するに限る。しかし相手も忠実ではない
「嫌だね、命令すんな!」
「やはりか..」
指先から水銀を滴らせる。
壊せば部品の一つ程度にはなるだろう
「やっぱりわかってたんだ。
アタシたちがポピラの味方だって事」
潰し損ねたのではなく潰さなかった、
少しの間猶予を与えたかったからだ。
「何故壊さなかった?
何故私に歯向かい牙を向いてる?」
皆の返答は同じ。
「アイツに思いを渡した、望むのはアイツの創った平和だ。技術じゃねぇ」
「こんな硬い国つまらねぇよ、オレはもっと自由がいいね。パーっとさ!」
「居心地の良い世界を創ると約束してくれた。ポピラは創造主だ。」
「嫌な約束しちまったもんだね、お陰で拝むまで眠れないってもんだよ。」
待つのは彼らだけじゃない
砂漠の時代のギアは皆、現代に開放された。後ろに全て列を作り構えている
「全面戦争という奴か。
お前たち、準備はいいか?」
「上等じゃんよ、借り返すぜぇ!?」
「バイク軍も揃ってる。
安心して死んでいいぞ、炎上野郎」
「これはまた管理が大変だな。」
エンジニアポリスの背後より、エンジン音を吹き鳴らす暴君共がいる。
「てめぇらいくぞ!
友達なんざひき殺せ、跡形無くな!」
バイクのクラクションが開戦を合図する。過去と現在の歯車が、重なり狂い鉄を軋ませ削り合う。
「ライフギアは本来必要の無いエゴだ機械化するに辺り取り除き切れなかった、人の醜い塊だ!
だから私はそれを技術に昇華した、テクノロジーの発展に、一つの新たな概念の拡大を試みたのだ!」
「んな事はなから知らねぇって言ってんだよ俺たちは!
自分たちの思いが叶う場所、それが実現すればそれでいい。エゴ上等だ!」
様々な思惑が交差する。
この戦いは、創造主たる男が目覚めるまで終わらないであろう。
「………」
目覚めた先に何が見えるか、それは今はわからない。未来の世界の話だ。
「早く目覚めろ、ポピラ!」
白い空は少しだけ青味を取り戻した。
ギア・メイク・オブワールド〜歯車で作られた世界の行末〜 アリエッティ @56513
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