【現代転生】445年の過去から目覚めた女

雨 杜和(あめ とわ)

【現代転生】455年の過去から来た女


 さて、これから綴る物語は戦国時代に生まれた貧しい庶民マチの話なんだ。


 現代に意識が転移したマチのドタバタ、それを影から見守る私の嘆きの記録でもあって。なぜなら、マチは私の身体に450年を経て転移したからだ。


 この物語は、過去からきた貧しい女性が現代が誇る進歩した世界で、どうチートして無双し、USSエンタープライズ号に搭乗して宇宙を巡るのか。


 なあ〜んてな、スペースオペラ的な内容じゃあない。


 単なる貧しく無知な戦国女が、いきなり私の家に転生してきたってだけで……。


 もうね、先に書いとく。

 うち、綺麗だから。

 どうせ、私の家なんて誰も知らないから、大いに見栄ミエはっとく。


 超豪華な大邸宅だから。

 都会の、ど真ん中に、ど〜んと建った大豪邸だから。


 門から玄関まで、なんと……、


 1秒もかかる。なんなら目の前、公道。玄関前、すぐ道。今も子供が自転車で駆け抜けてった。


 ・・・・・・・


 さて、この物語で問題なのは戦国時代のなにも知らない女が、私の家で、私の顔と身体になって存在するってことなんだけど。


 1573年からきたマチという女。


 織田信長が朝倉義景を自滅に追い込んだ一乗谷の戦いなんて、まったく関係ない。今日の食べ物と、いかに年貢をごまかすかしか頭を悩まさなかった女が現代にいる。それがこの物語のはじまりなんだ。


 私と姑オババの意識が戦国時代の庶民の親子、カネとマチに転移して、戦場の悲惨さに度肝どぎもを抜かれ、ワナワナしていた頃。


 現代では、別の意味でワナワナした女、それがマチだ。


 気の毒なことに彼女は20歳だった。それが一息に40代後半の私の身体で私の家で目覚めた。


 身体は私で意識はマチという奇妙な状態になったんだ。


 では、続きをお読みくださいまし。



(つづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る