想像してください。あなたにものすごく大好きなロックバンドがいることを。


 さあ、想像できましたか?

 どうして好きか、という理由はなんでもいいのです。彼らの奏でる音楽はもちろん、ライブパフォーマンス、ルックス、もしくは愛情たっぷりのファンサービスとか。
 とにかく大好きで、寝ても覚めても頭の中にはいつも彼らがいるのです。疲れた時には寄り添って、嬉しい時にはそれを何倍にもしてくれる。あなたはそんな彼らがどんなふうに『今』に至ったのかを、きっと知りたくなるはずです。

 ここに綴られているのは、まさしく彼らが生きた道。『物語』とか、『小説』で括ってはだめなのです。これは彼らの『伝記』です。

 一度文字を追えば、鼻先を掠めていく新緑の匂いを感じ、目の前に広がる風景に心躍り、彼らの聴く音楽もきっと聞こえるはずです。ほら、すぐそこに。

 もちろんロックバンドの伝記ですから、波瀾万丈が付きものです。それも舞台は平和惚けした日本ではありません。少々覚悟は必要ですが、それもまた一興。ある教授によれば、自分が理解できるより少しレベルの高いことの方が衝撃を受けるほどのおもしろさを感じ得るのだとか。

 最後に、私の意見を言うのであれば、このシリーズは時系列順で読むべきです(作者コレクション、Z D Vシリーズが時系列順になっています)。作者の手腕によりどこから読んでも十二分に楽しむことは可能でしょうけれど、私にはそれを薦めることができません。残念ながら私は時系列で読み進めてしまっていて、今現在もまだ彼らの進む道の途中ですので。

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