サンタおじさん
アリクイ
サンタおじさん
俺がまだ学生だった頃……ええと、たぶん中学生とかそれくらいだったかな?うちの地元に「サンタおじさん」って呼ばれてる人がいたんですよ。まぁ身も蓋もない言い方をしてしまえばただの浮浪者なんですけど、ぼさぼさに伸び切った真っ白な髭に何故だかいつもバカでかい袋を背負った姿がサンタに似てるとかなんだかで、周りからはそんな風に呼ばれてて。
でね、ある日同級生のひとりが言い出したんですよ。サンタおじさんの袋に何が入ってるのか、放課後確かめに行こうぜって。考えてみれば、サンタおじさんがその辺を徘徊してる姿はよく見かけるのに袋の中身を見たってやつは町のどこにもいなくって。なんだか腐った臭いがするもんだから、中には生ゴミが詰まってるんじゃないかとか色々言われてはいましたけど。
正直そんなに仲が良かったわけでもないし乗り気じゃなかったんですが、どうしてもって言うんで仕方なく承諾したんです。
結果ですか?あー、それなんですけど。結局行かなかったんですよ、俺。ドタキャンになっちゃったのは流石に少し悪いなって思ったけど、まぁ明日謝ればいいか。なんてその時は思ってて。
……まぁそいつ、次の日から学校来なくなっちゃったんですけど。
たぶん俺が来ないから、一人で袋の中身を見に行っちゃったんでしょうね。昔からあの辺に住んでる人なら皆"アレ"に関わったらいけないって知ってるんですけど、あいつはよそ者だったから。
と、そんな訳で俺の持ってきた怖い話はこれでおしまいです。……次、誰の番でしたっけ?
サンタおじさん アリクイ @black_arikui
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
アリクイ、日記を書く/アリクイ
★21 エッセイ・ノンフィクション 連載中 14話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます