電子ノベル《ドラッグ》。すごくとべるすごくとべるすごくとべるすごくとべ

違法な薬物(作中に明記されていないけれどLSDだろうなぁ……)に手を出した男女が花火大会に行く物語。

情景、心象、過去の想起、他人との物理的距離感、心理的距離感、あらゆる情報が同時多発的に脳内に、花火のように炸裂する強烈な文体です。
元来、文章と言う物は一直線にしか読み進める事の出来ない(時間感覚的に)不出来な物なのですが、この作品は違います。
一直線に読んでいるはずなのにパラレルに、時間軸をこじ開けて、情景が襲ってきます。
改行無く連続するセリフや、リズミカルな口語体、ひらがな、カタカナの扱い等々、《ある意味》すごく冷静でないと描けないであろう技巧の成せる業でしょうか。



私はドラッグ経験はないのですが、パニック発作と離人症と統合失調症が併発した時(現在は完治)に見た(感じた?)情景にそっくりでした(笑)
そう言った恐慌状態の心理を文章、文体によって想起させる試みは紛れもなく文学であり、私自身、そのような表現を探求していたので非常に楽しめ、感動した作品です。