第5話 不夜城
コンビニで軽い買い物を済ませた後俺達は麗しの我が王城に帰還していた。時間はすでに夜中の12時に迫ろうとしている。俺、明日も仕事なんだけど、、、と遠い目をしながら家の鍵を開ける。玄関の電気をつけ、そのまま靴を脱ぎ、リビングへ向かう俺の後ろからややおどおどした感じの西原の声が聞こえた。
「おじゃまします、、、」
「おう、いらっしゃい。玄関の電気は消しといてくれ」
「あ、はい。」
ずっとこの感じで大人しくしてくれてると助かるんだけどなぁなんて淡い期待を抱いていたが、その期待も一瞬で砕け散ることになる。玄関で靴を脱いだ西原はそのままおどおどした感じでリビングに到達するやいなや、
「え!ひろ!てかめっちゃオシャレ!」
一瞬でテンションが上っていた。正直褒められて悪い気はしないが、時間も考えてほしい。
「はいはい、ありがとう。お隣さんに迷惑だから静かにな。」
「あ、すんません。」
素で驚いたのだろう、素直に謝ってくる。
「せんぱい、マジで広いですね!原田さんからは聞いてましたけど。それにオシャレ!」
「ふふん。そうだろう。」
「てかマジで良いなぁ。あの会社お給料いいとは聞いてましたけど、こうして実生活見せられるとすごいですね。。。」
自分が学生だった頃を思い出しても、社会人の年収には正直なところ実感がまったくわかなかった。確かに年収が良いと言われる会社に就職したいとは思っていたが、じゃあその年収だとどんな暮らしになるのか?までは考えていなかった。もちろんOB訪問や社会人との飲み会で奢ってもらうこともあったが、飲食代だけではその相手の正確な財力は分からない。その相手の稼ぎを見るためには、その人の家や持ち物を見なさいってな。まぁ本当の金持ちはまた別なんだが、、、
「まぁそこそこ稼いでるからな。それに独身だし。加えてつい先日までは1Rの部屋に住んでたし。」
「え、そうだったんですか??」
「あぁ。新卒の時からずっとその1Rに住んでた。」
「へぇー?なんかそれはそれで以外ですね?」
「そうか?」
「はい。だって先輩、オシャレで美味しいお店いっぱい知ってるし、高いお店にもよく言ってるって聞いてたから。」
「、、、おい、誰にその話を聞いた。」
げ、やばいという顔をした西原がそこにいた。繰り返しになるが彼女は我が社の学生インターンである。飲み会では何度か顔を合わせたことはあるし、仕事でも少しは絡んだことがある。だがそんなプライベートの話はしていない。
「え、誰だったかなー。はは。」
追求をまったく躱せそうにないことを言いながら目を泳がせていたが、時間も時間だ。また別の機会に確認しよう。
「まぁ良いわ。。。それより早く寝よう。」
王城にインターン生が転がり込んできた けーぷ @pandapandapanda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。王城にインターン生が転がり込んできたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます