宗教対立という大きな時代の枠の中で、登場人物一人一人の正義――信念が描かれる作品です。リアリティのある世界感が重厚な文で描かれており、読み応えがあります。ノンフィクションの歴史小説を読んでいるかのような気持ちにさせられました。救いのない時代の流れに翻弄される登場人物。それぞれが抱く正義が交錯する物語。話が進むごとにピースが合わさるような群像劇に惹き込まれます。
神に善悪正義不正義はない。人には正義不正義があり、しかも腹が空けば飯を食い、悪ければ拳を挙げる。