最果ての魔女

魔法が主流な世界でこんなおかしな御伽噺があるそうで。

大魔女、サイハテノ島ニ、眠ル。
彼女ノ怒リヲ呼ビサマシモノハ
世界ヲホロボス。

そんな世界を滅ぼすなどと馬鹿げた話を今日も魔法初等学校幼稚科に預かられた子供たちが笑いながら聞いている。
それもそのはずこの魔女の話、数百年前の出来事なのだ。

大陸の東西を分ける魔法異能の大戦争。
大魔女は戦争に負けた後、島流しにあった。
その時流れ着いた島がサイハテノ島。
そこにまだ生きて生活してるなどと理解し難いものだった。
もちろんこんなの誰も信じてはいない。
幼稚園児だって、歳を重ね忘れっぽくなってきた老人達でさえ、こんな話に真摯に耳を傾けて聞くやつはいなかった。

ただ一人の馬鹿な男を除いては。