君を思うと

苔田 カエル

第1話

ある夏の日、寄せる波が、

彼女の足跡を消し去った。


迫り来る狂おうしいほどの喪失感で、

この世に彼女を探すとしたら、

あの夏の日、波が持ち去った彼女の足跡を、

僕は思うだろう。


この大海原おおうなばらのどこかを、

今でも彼女のあの足跡は漂っていることだろう。


そう思うと空虚なこの心にも、

何か少したぎってくる。

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君を思うと 苔田 カエル @keronosuke3

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