ビッグバスト巨乳でかおっぱい

温見もとり

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          *


 巨乳揉み大学、乳首いじりキャンパス、パイオツ連呼研究室。

 教授――


余間よま朝日あさひ! 余間朝日教授はいらっしゃる!?」


 そう、余間朝日。

 若干十四歳にして、胸囲直視専攻の第一人者として学会で一目置かれている才女。

 何を隠そう、あたしだ。

「ここにいますよ、天壌てんじょう助教授。てんっ、テンジョウジョキョウジュって言い辛くて草生えるwww草生えるって構文にWの小文字を続けるやつwwwははははっ!」

「黙りなさい!! 形式上呼んでやっているだけよ!」

「それであたしにどういったご用か? 天壌てんじょう助教授」

「あなたに胸バトルを申し込むわ! 私が勝った暁には巨乳揉み大学のこの研究室から出て行ってもらうわよ!」

「ソードアートオンラインのアスナみたいなオネエっぽい喋り方……胸バトル?

なんですかそれは?」

「胸バトルは胸についてプレゼンして会場をかせ、それを既定レギュレーションで数値化し競う勝負のことよ!」

「じゃあ嫌です。そんなの天壌てんじょう助教授の言いなり連中で観客を固めればいいだけの、出来レースもいいところの馬鹿勝負じゃあないですか。嫌です」

 何が胸バトルだアホらしい。

 きっとYouTubeの見過ぎて頭が湧いてんだな。


「逃げるの? 戦いもせず。余間朝日よまあさひは腰抜けなのかしら?」


「だからそのオネエみたいな喋り方…………うんじゃあ、あたしは腰抜けですよ。うん、はい」

「ソードアートオンラインのアスナはオネエ口調ではないわ!」

「『かしら?』とか『だわ』とか『わよ』っていう女子マジでいると思ってんの……?」

「これだからぼっちは……いるわよ、いるに決まってるじゃない!」

 いるんだ……

 へー。

 意外かもしれない。

 そんな女見たことも聞いたこともござらん。

 まだ『んご』とか『せやかて工藤』っつってるやつの方が多いんご。

 知らんのやが。

「勝負は明後日よ!」

「嫌ですって」

「あなたがもし勝てたら100万円を差し上げるわ。それでどう?」

「あたし講演会開いただけでその七倍はふんだくってるんで結構です。やりません」

「くっ……あ、あなたの家に火をつけるわよ」

「通報します」

「こなクソ……」

 おもむろに天壌てんじょう助教授は拳銃を取り出した。マジか。

 あたしはあまり銃に関して造詣の深い人間じゃあないんだけれど、彼女が引き金に指をかけたままなのを見て、モデルガンの可能性を考えた。

 モノホンの取り扱いを心得てるなら、引き金に指をかけるのは撃つときだけのはずだ(ラノベ作家の受け売りで真偽のほどは存じ上げないけどネ)。

天壌てんじょう助教授、どういうつもりか」

「こ、これはガスガンだけど、あなたの眼球に命中すれば確実に失明させることができるわ。胸バトルを受けなさい、でなければ撃つ!」

「…………はあ」

 もう目眩めまいがしそうだった。

 可哀想を通り越して悲しくなってくる。

 あたしは疲れた。


「お前、貧乳かわいそうだな……」


「何?」

貧乳かわいそうだっつってんだよ」

「なんですって!?」


「誕生日ケーキのロウソクに息を吹きかけたあとの匂いを知ってるか? サンタクロースなんているわけないって思いながら本当はいて欲しいなんて考えたことは? ないだろう! あるはずがない! お上品さをかなぐり捨てて死に物狂いで手に入れた一等賞の味もな!」


「あたしの『いままで』が、『大好き』が、この胸めっっちゃんこいっぱいに詰まってんだ。これを巨乳しあわせと呼ばずしてなんと呼ぶ?」


「そんなの――」

「だから! あたしはお前のちっぽけな全てを否定する! カスめ!!」

 あたしはバストパワー念力を使い、ディメンジョンのスポットに天壌てんじょう助教授をセッティングした。これでオブリマイヤーがイェイイェだ。

「ぐあぁぁぁああああッ!! 空中で、はりつけにされているかのようだわ! か、身体が動かない! これが特殊な素養を持つ者だけが使えるというバストパワーとでもいうの!?」

「新鮮なニンジンは美味しいよ」

「そんなぁぁああああッ!!」

 こうして、他人の家に火をつけるとかガスガンで眼球を攻撃するとか抜かした悪質極まりない天壌てんじょう助教授は、異次元の彼方へオプティマイズした。焼売シューマイ空間で里中さとなかゲニウス相手にイニシアチブが取れるレベルにならないと帰ってこれないだろう。ソードアートオンラインのアスナみたいなオネェ口調のやつにはおあつらえ向きの末路と言える。

 さて。

 どうか皆さんも心得ていて欲しい。


「思い通りにいかない毎日でも、

 自分には何もないと落ち込むことがあっても、

 誰にがっかりされても、世の中は貧乳かなしみが100パーセントじゃありません。


 目を凝らせば必ずどこかに、

 見当たらなければ作り出せる、

 望む者にはおおよそきっと、素敵な巨乳しあわせが訪れることでしょう」



 信じる想いが世界を変える。

 貧乳も巨乳も、全ては心の在りようなのだから。



                                 【おわり】

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