世界観

戦市分権と特能権務法

【戦市分権制度と特殊技能者権利義務規定法】


●戦市分権

 幾つもの都道府県に跨るほど侵食域の広い迷宮がある地域・地方で見られる、行政の分権機構。

 一般の国民を守るため、迷宮からの魔獣の進攻を堰き止める役割を持つ都市、迷宮防衛都市を作り、その都市に学科魔法士や魔法技能者を優先的に住まわせ、国がその都市に独自の行政権を与えることを言う。

 市の予算は、その市が属する都道府県ではなく、国が一括で管理する。

 早い話が、都道府県と同等、あるいはそれ以上の行政権を持つ一個の都市を作る考え方のこと。


※この行政機構の利点と欠点

・利点:独自予算を持つため、都市の市議会(都市統括人工知能と都市魔法士管理局の合同総会)が、独自に市を発展させられる。

・利点:街の防衛設備や生活設備の拡充、医療負担の軽減といった、この都市の住民限定の特典がある。

・利点:有事の際でも独自行動を取ることができ、都市の対応が敏速である。

・欠点:独自予算を組まれるには理由があり、この都市に住まう者は、世代性別を問わず、迷宮の管理者、人類の守護者として、敵性型魔獣と戦う義務が課される。

・欠点:学科魔法士や魔法技能者は一部の例外を除き、この都市以外で生活することが許されておらず、事実上魔法を使える者達の逃げ場を封じる檻として機能している。

・欠点:常に魔獣達と戦う前線として機能するため、都市への居住は犠牲が出ることが前提とされている。



●特殊技能者権利義務規定法

 学科魔法士や魔法技能者の権利と義務、罰則について明記した法律であり、国家魔法士委員会や都市魔法士管理局の設立要件でもある法律。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者は、世代性別を問わず、有事の際は国防の

 任を負う戦力と数えられる。

 ⇒ 魔法士及び魔法技能者の国防戦力規定。非常時召集の合法化。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者で、かつ、魔法学科修了資格を有する者

 (=学科魔法士)は、自己の責任が負える範囲において、公序良俗に反さぬ魔

 法の行使が許される。

 魔法学科修了資格を持たぬ場合、公序良俗に反さぬ魔法であっても、公の使用

 は罰則が適用される。

 ⇒ 学科魔法士の魔法使用特権


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者は、魔法学科修了資格の有無を問わず、非

 特殊技能者(=一般人)が危機にある時、その技能を用いて、非特殊技能者を

 救う義務を負う。

 ⇒ 救命特例。魔法技能者の魔法使用許可例外。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者で、かつ、魔法学科修了資格を有する者

 (=学科魔法士)は、国家魔法士委員会の管轄となる。

 ⇒ 国家魔法士委員会の設立規定1。


・1つ、国家魔法士委員会は、全ての特異構造物(=魔晶)と、特殊空間(=迷

 宮)を管理する役割を有し、国土内の特殊空間を監視し、特殊生物(=魔獣)

 の進攻を阻止するため、特殊用途都市(=迷宮防衛都市)を建設し、特殊用途

 都市の維持を行う。

 ⇒ 国家魔法士委員会の設立規定2。


・1つ、国家魔法士委員会は、特殊用途都市(=迷宮防衛都市)の維持のため

 に、都市魔法士管理局を設立し、都市の防衛と戦力管理を分担させる。

 ⇒ 都市魔法士管理局の設立規定。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者は、世代性別を問わず、特殊用途都市(=

 迷宮防衛都市)に集住する義務を負う。

 ⇒ 迷宮防衛都市への集住義務。


・1つ、特殊用途都市(=迷宮防衛都市)は、特殊生物(=魔獣)の進攻を阻止

 するため、独自の権限を持つ。また、特殊用途都市には、魔法学科修了資格を

 有する者(=学科魔法士)で、かつ軍に所属する者を、一定数常に駐留させる権

 利がある。

 ⇒ 戦市分権制度の背景法律。都市自衛軍の設立要件。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得させる教育機関、及び特殊技能たる魔法を研究

 開発する研究機関等は、全て特殊用途都市(=迷宮防衛都市)内にのみ、設立

 できる。

 ⇒ 魔法教育研究規定。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者で、かつ、魔法学科修了資格を有する者

 (=学科魔法士)は、自己の責任が負える範囲において、魔法具の使用・所

 有・携帯が許される。

 魔法学科修了資格を持たぬ場合、特殊用途都市(=迷宮防衛都市)内に限り、

 魔法具の使用・所有・携帯が許される。

 魔法具の開発及び売買は、特定の魔法学科修了資格を有する者にのみ許され

 る。

 ⇒ 魔法具規定。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者で、かつ、魔法学科修了資格を有する者

 (=学科魔法士)は、自己の責任が負える範囲において、特殊空間(=迷宮)

 への進入を認める。

 但し、進入した魔法士の生命身体に如何なる損傷・侵害があっても、国家・委

 員会・管理局・依頼所は一切の責を負わず、それらの損害は全て自己の責任に帰

 属する。

 ⇒ 迷宮規定。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者で、かつ、魔法学科修了資格を有しようと

 する者は、試験・教育の一環として、特に高い能力や実績(=学科位階8相当

 以上)を持つ魔法学科修了資格を有する者の引率により、特殊空間(=迷宮)

 への侵入を一時的に許可する。

 但し、迷宮空間で発生した各種問題は、魔法学科修了資格を有する者と同様に

 処理され、自己の責任に帰属する。

 ⇒ 迷宮規定の例外。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者、また魔法学科修了資格を有する者(=

 学科魔法士)は、特殊空間(=迷宮)へ侵入した際、自己の責任が負える範囲

 において、友好的である特殊生物(=融和型魔獣)を保護する権利を持つ。

 但し、友好的である特殊生物から、有益情報の収集が義務であり、専門機関で

 の情報収集が難しい時は、保護した者が情報収集を行う義務を課される。

 ⇒ 融和型魔獣の保護規定。


・1つ、特殊技能たる魔法を修得した者、また魔法学科修了資格を有する者(=

 学科魔法士)は、特に高い能力や実績(=学科位階8相当以上)を持つ者に限

 り、次世代により多くの才を受け継がせるため、特例として重婚が認められ

 る。

 この重婚は一夫多妻、一妻多夫のいずれも認めるものであるが、重婚を行う場

 合、配偶者同士の意思確認を特に厳しく判断する。

 ⇒ 高位魔法士の重婚特例規定。


●関所及び依頼所での、迷宮進入規定(平事)

①迷宮空間に進入する魔法士は、自身が進入して活動する予定の区画を、予め所属する依頼所に届け出ておくこと。

→ 行方不明時の捜索資料に使う


②迷宮空間に進入する魔法士は、確たる進入目的(=依頼)を持った上で、迷宮に入ること。

→ 行方不明者の行動分析資料として進入目的を使う


③迷宮空間に進入する魔法士は、必ず自己の学科魔法士資格を依頼所に登録し、新しい学科魔法士資格を取得した時は、早期に取得した学科を再登録すること。

→ 取得した学科魔法士資格から修得魔法を推測し、

  行方不明者の生存予想時間を概算


④迷宮空間に進入する魔法士は、遺書と死亡同意書を2通ずつ作成し、迷宮空間に進入する時は、それらの内1通ずつを持ち歩いて、残りの1通ずつを依頼所に預けること。ポマコン内に保存でも可。

→ 死亡時の事後処理の簡略化、権利関係の整理、死亡者の身元確認に使う


●関所及び依頼所での、迷宮進入規定(有事)

①魔晶が特定迷宮空間内において魔獣を頻繁に召喚した時、当該迷宮空間に進入していた魔法士は、早急に迷宮空間より脱出すること。

→ 召喚された魔獣が新種の敵性型魔獣の場合、

  何もできずに殺される危険がある


②魔晶が特定迷宮空間内において魔獣を頻繁に召喚した時、当該迷宮空間を管理する管理局は、速やかに管理区域内に居住する魔法士から、軍・警察・一般を問わず、優れた探索能力を持つ魔法士達を選出し、当該迷宮空間の偵察を行うこと。

→ 召喚された魔獣の特定。融和型か敵性型か、新種か否かを調査する


③魔晶が特定迷宮空間内において魔獣を頻繁に召喚した時、召喚された魔獣が、敵性型かつ新種の場合、当該迷宮空間を管理する管理局は、最低でも1週間の間、魔法士の迷宮空間への進入を制限することができる。  

→ 管理局から依頼された探査型の学科魔法士が、

  新種魔獣の生態・戦闘力調査を行う


④魔晶が特定迷宮空間内において魔獣を頻繁に召喚した時、召喚された魔獣が融和型、あるいは敵性型であってもすでに生態解明が済み、危険度の設定が完了している魔獣の場合、当該迷宮空間を管理する管理局は、魔法士の迷宮空間への進入を許可してよい。

→ 自己責任で魔法士に対処を任せる


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設定集:学科魔法士の迷宮冒険記 九語夢彦 @Kugatari-yumehiko

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