小学校六年生の少年少女による肝試しのはずが…

 小学六年生の「ぼく」ことタツノが、従兄弟のお兄ちゃんから異界を招くための儀式を教えてもらう。同級生ナルと話が弾んで、いつのまにか異界探検ツアーと題して、皆で儀式を試すことに……。というあらすじ。
 この儀式というのが、高い塔の上で魔法陣の上で祈ると、下から異界が上ってくるというもの。使われていないビルの屋上を見繕って儀式を試し、いざ下へ降りてゆこう!というわけですが、ここの描写が大変に良い。少年少女がワイワイと楽しみながら、一つまみの怖さを味わう情景。だんだんと不穏になってくるあたりの様子。来るぞ…来るぞ…と思わせて、まだ来ない、いつ来るか、と読者まで息を飲む恐怖の演出。リアリティのあるホラー描写で、感心しました。彼らの異界探検の結末がいったいどうなるのか、皆さんもこの夏休みホラー体験を味わってみてください。

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