第4話 おまわりさんは巨乳美少女だった
「――通報によると駅前でヨダレを垂らしながら息荒く、食い入るような目で改札を見ていたとか……いったいあそこで何をしていたんです?」
「あの、それは、その……」
狭い室内の中でパイプ椅子に座らされていた僕は、恐る恐る横を向く。そこには僕を詰問する人の姿があった。そして視線は自然と胸に向かう。
真っ黒なベストが物々しく、胸元には丸く歪曲した『警視庁』の文字が入っている。
――そう。僕は今、『職質→ご同行願います』の流れでおまわりさんに交番へと連行されていた。
別に害のある行動をしていたわけではないので、しっかりとその場で受け答えしていればよかったのかもしれないが、そうもできない訳が僕にはあった。
「ハァハァ……」
そのおまわりさんは例に漏れることなく美少女だった。
もちろん僕の視点での話だ。実際がどうかとかは知らん。
そして何より、そのもちものが大きかった。
その胸囲の大きさによって、胸元の『警視庁』の文字が卑猥なほどに丸く歪んでいるのだ。
何というか、無理やり着込んでいるベストじゃ押さえつけられない感じが出ている豊満な胸元が非常にえっちぃのだ!
だから職質の内容をろくに聞かずに「はい、はい、はい!」と言ってノコノコとここまでついてきてしまった。
「どうしましたか? 私の胸元に、なにか?」
「あっ……すみません、ジロジロと」
ちょっと露骨に視線がおっぱい(もう胸とか言って誤魔化せん)に向き過ぎていたようだ。
反省だ反省。『おまわりさんと話すの初めてで、ちょっと制服が気になっちゃって! あ、無線機カッコイイですね!』とか言って話題を逸らさなくては!
「――お、おっぱいが、デカいですね……」
しかし口から突いたのは別の言葉。空気が凍った音がした。
――マ、マズい!
今日1日で美少女成分を過剰摂取したせいで自制がまるで効かなくなっている!
まさかのおまわりさんへのセクハラで現行犯逮捕もあるのでは!?
戦々恐々とする僕に、しかし、
「あっ、わかります~?」
とおまわりさんは何故かふにゃりと頬を緩ませる。
「実はボディービルが趣味でしてね、昨日は大胸筋をかなり可愛がりましたから筋肉が張ってるんですよ……!」
気を悪くするどころか機嫌よくベストを脱ぎ脱ぎ。そこから自身の右手首を掴んで綺麗なサイドチェスト。「どうです?」いやどうですと聞かれましても。
「お、おっぱいがめちゃくちゃ強調されてて……スゴいです……!」
そうとしか言えない。実際、僕の目の前にあるものはただの筋肉の塊なのかもしれなかった。しかし、僕の認識上は両腕に寄せられた美少女の『たわわ』なおっぱいにしか映らないのだ!
「ハァハァ……さ、触ってもいいですか……?」
「ええ、もちろん! どうぞ!」
「ハァハァ……ゴクリっ」
僕は生唾を飲み込んで、その豊満な果実へと右の手のひらを触れさせる。
「あぁ……っ! や、柔らかい……っ!」
初めて、僕はその時人生で初めて女の子(?)のおっぱいに手を触れた。
想像していた通り、それはもうマシュマロのようにフカフカだった。
「や、柔らかいですと……? 馬鹿な! もっとしっかり掴んでみてください!」
「あぁ――っ!!」
おまわりさんがサイドチェストのポーズのまま胸をこちら押し付けるようにグイっと近づいた。
「どうだ! 硬いでしょうッ!?」
おまわりさんの問いかけとは裏腹に、しかし僕の5本の指はおっぱいへと沈んでいく。深く深く、底の無い柔らかさが手のひらを包みこんだ。
「あぁっ! 柔らかいですぅっ! ハァハァ……!」
「そ、そんなわけない! もっとちゃんと掴むんだッ!」
「はっ、はいっ! こうですかっ!?」
僕は言われた通り、そのおっぱいを揉みしだく。
「あぁっ! もっと手のひらで掴むように! アっ! そんなに指を動かすんじゃない!」
「ハァハァ……こ、これでっ、どうですかっ」
「アァッ! そ、そんなとこ摘まむんじゃないっ! あっ、あぁんっ!」
そんなことをしていると、突然に背後で交番のドアが開いた。
「ふー、ただいまー。やっと巡回終わっ――って、林くんっ!? なぜ交番で、それも男同士で乳繰り合ってるのかねっ!?」
最悪のタイミングで登場したおまわりさんの上司から雷が落ちる。
それから僕を含めて1時間、何をしていたのかをみっちり問い質されたのだった。
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