世界一で一番面白い、娯楽オカルトアクションパルプ。

この小説はどんなジャンルですか?と問われたならば「銃撃戦で赤いドラム缶を撃つと大爆発するやつ」と答えるしかない。

英雄本色めいた銃撃戦とオカルト呪術バトルが融合した本作は、娯楽オカルトアクションパルプとでも呼ばざるを得ない、独特のジャンルを形成している。

特徴的なのは、作中に登場するオカルト要素が、すべて迷信として片付けられているところだろう。

魔術師シェイドウォーカーズが行使する魔術は決して発動しない。だけど、人々はそれを信じ続ける。たとえ予言が外れたとしても、それは「敵の予言回避が上手だった」と解釈される。

そして人々はオカルトに傾倒し、フィクションの神に生贄を捧げ無数の使者が生み出される。 実体を持った信仰は顕現する!

主人公のマークは、この世界で唯一「欺瞞」に気がついている人間だ。

この世界は欺瞞だらけだと俺だけが知っている、でも? もしかしたら? なぜかその欺瞞を信じ切れない絶妙の匙加減が素晴らしい。

『シェイドウォーカーズ』間違いなく世界一面白いパルプだ。