第2話

「おそろしいもんだな。夢と現実が混ざるってのは」

「おはよう。どういう人だった?」

「女性。二十才前後。どこにでもいるような量産型のやつだ。夢の中身を除けば」

「どんな夢?」

「なにもない」

「え?」

「なにもない、という夢だった。おれもちょっと分かんねぇな、あれは。ただ、なにもない。なにもないから、なにもない以外の表現ができない」

「なんかあるでしょ。色とか、服装とか、そうだ、朝とか夜とか」

「色と服はあった。たぶん寝る前に着ていたものだろう。だが、朝と夜はなかった。あんな空は、二度と見れないだろうな」

「へぇ」

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夢が幻想になる 春嵐 @aiot3110

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